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外国発飲食企業の、日本での自立戦略

投稿日:2019年6月4日 更新日:

クリスピー・クリーム・ドーナツ(以下:KKD)は6月5日、フルーツやスーパーフードと組み合わせた「フルーツ ヨーグルト ブラン」「ジンジャー レモン ブラン」「糀 オールドファッション」(各税別230円)を発売する。

KKDの定番であるイースト生地にブランのパウダーを練り込んだ「ブラン ドーナツ」と、オールドファッション生地に糀を練り込んだ「糀 ドーナツ」を新たに開発。

ブランは小麦の外皮部分のことで「小麦ふすま」とも呼ばれ、不溶性食物繊維や鉄分、カリウム、マグネシウムなどのミネラルが含まれることで知られている。

また、糀はブドウ糖やビタミン類、アミノ酸などの栄養素を含み、まろやかで優しい味わいを楽しめる。

流通ニュース 2019/5/20
クリスピー・クリーム/ギルトフリーな「ブラン」「糀」使用のドーナツ

かつて、日本のドーナツ市場に旋風を巻き起こした、クリスピークリームドーナツ。ピーク時には店舗数も60店舗を超えたものの、その後は店舗数も減少し、業績が低迷。赤字が続き、一時期は日本からの撤退も噂されていた。昨今の健康志向の表れが影響している側面もあり、糖質制限ダイエットなどの逆風も、業績には関係があるのかもしれない。

しかしながら、2017年に経営者が交代し、2018年以降は増益を確保するなど、復活の兆しを見せている。

「クリスピー・ドーナツ」復活へ!女性社長の改革

https://plus.paravi.jp/business/000673.html
PlusPalavi 2019/1/8

復活の要因はさまざまにあるが、地域に合わせた商品開発や、顧客層に沿う内装を導入するなど、発祥の地であるアメリカ本国の文化へのこだわりを抑えた、地域別マーケティングが大きいといえるだろう。

そのため、今回の新商品についても「糀」を用いるなど、日本の顧客にとって受け入れやすい商品となっている。「糀」は健康を想起させ、ドーナツを食べることに対する、健康上の罪悪感のようなものを払拭させる働きをもたらすことができる。これも、イメージ転換による、マーケティング戦略の一種である。

今後は、日本発祥のドーナツが本国のアメリカ店舗でも発売されるくらいの、独自性をもった進化と、劇的な復活を期待したいところである。

 

武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント

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