ここで改めて、ESGの概念について解説していきます。
ESGは、下記3点の英語の頭文字を統合したことを指します。
- Environment(環境)
- Social(社会)
- Governance(ガバナンス)
これらについて、企業としてどのように取り組みをしているのかが、問われているのです。
それぞれの具体的な事例としては、下記のようなものです。
今回取り上げた女性活躍推進法の記事については、ESGの概念においてSocial(社会)の項目にあたります。
また、女性の働きやすさを認定する基準としては、厚生労働省が認定する「えるぼし」というものがあります。
えるぼし認定は、前述の女性活躍推進法の趣旨に基づき、女性が活躍できる企業風土や業務整備を推進している企業が取得できる認定制度です。
えるぼし認定は3段階あり、更にその上位階級として「プラチナえるぼし」という認定もあります。
えるぼし認定は既に社会的な浸透も進み始めており、1000社以上の企業が取得しています。
女性活躍推進法への取組状況(一般事業主行動計画策定届出・「えるぼし」「プラチナえるぼし」認定状況)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000129028.html
ホームページの企業一覧を見ると、イオン社や丸井社などの小売業から、コニカミノルタ社やセイコーエプソン社のような製造業まで、取得している企業の業態は様々であることがわかります。
一見、大手企業ばかりが取得しているようにも見えますが、実際には一般的に知名度が高くない中小企業や中堅企業も、取得している企業が散見されます。
ここが、中小・中堅企業においてチャンスと言えるところです。
大手企業でもできていないことを、中小・中堅企業で達成することができていたら、それは消費者や取引先などに対しての大きなアピールポイントになります。
更に、今後の人手不足が予測される時代においても、女性が活躍できる平等な企業制度が整備されたホワイト企業という認知が得られ、優秀な人材が獲得しやすいというメリットも得られます。
つまり、女性が活躍する事業基盤を整備することで、企業としてのブランド・イメージを高め、なおかつ人材獲得競争においても優位に立てるという利点も甘受 できるのです。変わった試みですが、フレームワークを使いこのチャンスを整理してみましょう。
まずは、外部環境の変化としてPEST分析を行ってみます。
更に、別の角度として、3C分析を行うと、下記のようになります。
このように、外部環境の変化を自社に取り込むことで、企業規模に関係なく経営上においても有利な条件が整う可能性が高くなります。
では、具体的なコーポレート・ブランドのイメージ戦略としては、どのようなものがあるのでしょうか。
こちらについては後編で検証していきたいと思います。
■武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 エキスパート認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師
経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。
現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。
https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/