セミナー・実践会・相談会でブランド課題を解決する

Case Study

M&Aによるブランドシナジーを考察 ーカインズによる東急ハンズのM&A【後編】

投稿日:

前編では、東急ハンズ社とカインズ社はブランドシナジー(相互補完性)が高く、理想的なM&Aの組み合わせであることを検証していきました。

後編では、経営統合時に生じるブランド管理とM&Aに伴う対処事項について述べていきたいと思います。

今回のM&Aによって、今後、東急ハンズ社とカインズ社は経営統合を進めていくことになるかと思いますが、その道のりは簡単ではないと推察されます。それは、各社の店舗に対する経営方針の差によるものが大きいと思われます。

カインズ社は、地方・郊外に多くの店舗を保有しています。これらの店舗については、本社がきちんと各店舗を連携させ、できる限り顧客を囲い込むブランド戦略をとります。

そのため、各店舗の間の距離は小さく、できる限り特定地域に集中出店させていくという、店舗戦略をとることになります。その結果、競合企業は顧客へ関与しにくくなるということです。

図で表すと、下記の通りです。

これが、エリアドミナント戦略と呼ばれるものです。

国内の大手小売業、特に大手のコンビニエンスストアチェーン店は、これを重点的に行っています。

1店舗あたりの売上高は小さくなりますが、特定地域に集中出店することにより、地域単位でのシェア率を高め、ブランドファンとなる顧客を囲い込んでいくというやり方です。

これに対して、東急ハンズ社は1店舗あたりの売上高を高め、それぞれの店舗がそれぞれの地域で独立したかたちでシェアを高めていくという店舗戦略です。

ただし、競合企業も同様の対策を打ってくるため、常時激しい競争に巻き込まれていることになりますし、また顧客に関与できる実力を獲得しておかなくてはなりません。

図で表すと、下記の通りです。

 > 続きを読む 

関連記事

森

村上春樹のマーケティング理論 ベストセラーを生む6つのセオリー

30歳で作家デビュー、『ノルウェイの森』の上下巻約1000万部の大ヒットを皮切りに、69歳の現在までベストセラーを生み出しつづけている村上春樹。今回はマーケティングの見地から、村上春樹自身の読者獲得戦 …

teacoffee

【商品分析】「TEA COFFEE」は売れるか? 仁義なき「すっきりコーヒー戦争」の異端児

(出典:http://www.asahiinryo.co.jp/wonda/sp/teacoffee.html) 「TEA COFFEE」なる、紅茶(本当は焙じ茶)なんだかコーヒーなのか混乱してしまう …

モスバーガーのとびきりハンバーグサンド

モスバーガーのブランド戦略〜キーワードは「おいしさ」〜

(出典:http://mos.jp/cp/tobikiri/) 絶好調のマクドナルドや、出店相次ぐ高級ハンバーガー店が話題になる中でも、業界2位のモスバーガーは独自なポジショニングとブランド戦略で健闘 …

【ブランディング事例】世界観の徹底で、ポップコーンに「情緒的価値」を付加させたポップコーンパパ【後編】

前回のコラムではポップコーン専門店「ポップコーンパパ」を経営する株式会社Dreams(大阪府)が、どのようにしてブランド・アイデンティティを確立していったかを紹介しました。 今回は、ブランド・アイデン …

スターバックスの店舗

【誰にでもわかる!?】スターバックスから学ぶ3C分析

市場を分析する手法である3C分析は、マーケティングのフレームワーク(分析ツール)として知られていますが、ブランディングにおいても活用されています。 今回は、日本進出から20年あまりで1,000店舗を超 …

サイト内検索