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Case Study

Oculus Go(オキュラス ゴー)は電脳アイドルの夢を見るか?

投稿日:2018年6月7日 更新日:

なんか『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』をパロってタイトル付けようとしてみたもの、あまり面白味のないタイトルになりました…。

とまぁそれはさておき、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』という小説では、生身の人間と人工知能の違いは何か? など、今から半世紀も前に書かれた作品とは思えないぐらい2018年現在でも新鮮味のある題材をテーマにしておりました。

人工知能と言えば、Googleのアルファ碁に代表されるような、一般人にもわかりやすい、話のネタになりやすいものも出始め、ITにそれほど詳しくない人でも、それなりに会話が弾むぐらいAIについての予備知識を仕入れている昨今ではありますが、今日は人工知能ではなくバーチャル空間についてお話してみたいと思います。

エリオット波動で見るデジタル上昇波の第五波は何か?

あまり詳しく説明してしまうと、それだけでページが埋まってしまうので簡単に、かつ一部分だけエリオット波動について説明しますと、「物事には波があり、上昇トレンドの時は、大きく3つの上昇波が計測される」というものになります。

エリオット波動

一般的にエリオット波動とか聞くと、株や為替などの相場で使うイメージを持っている人もいるかと思いますが、このエリオット波動は相場だけではなく、人類の営みそのものも波動として読み解くというスケールの大きい話にまで拡大することができ、筆者はかねてよりこのエリオット波動と、ここ数十年続いていたデジタルの波を対比させて考えていました。

ここに記すのは、あくまで筆者の個人的感想ということであって、人の数だけ解釈があるとは思うのですが、個人的にまず第一波は「パソコンとインターネット」の波だと見ています。Window95が出てきたあたりがスタートで、電話線でのインターネットから、ADSL、光回線、歴代Windowsとインターネット繁栄の歴史と言ってもいいかもしれません。

第三波は「ガラケーとスマホとSNS」の波だと見ています。ガラケーというのは日本独自のものなので、ワールドワイドで考えるのもあれですが、あくまでメインはスマホ。スマホの前段階として日本ではガラケーが流行ったという認識になります。一家に一台のパソコンから一人一台というガラケーとスマホの波は、第一波であるパソコンとインターネットの波を優に超えるものになっているかと思います。(エリオット波動的にもかなりの確率で第三波が一番大きくなる)そして一人一台になったからこそ、SNSという文化が花開いたと考えております。

では第五波はなんでしょう? それが筆者のここ数年の課題でした。

Apple Watchなどに代表されるウェアラブル機器なのか? スマートスピーカーを筆頭とするIoT(Internet of Things)と呼ばれているものなのか? などなど、いくつも候補はあったのですが、今一つ「コレだ!」と呼べるものはありませんでした。もちろん、第五波を探す過程でVR(ヴァーチャルリアリティ)なんかにも手を出しましたが、その当時の感想としては「面白いかもしれないけど、VRは遊園地とかゲーセンとか大規模施設、もしくは福祉施設とかで使うものだろ」と結構冷ややかな目で見ており、周りで「VRスゲー!!」って盛り上がっても、「どうせすぐ飽きるだろ」と思っておりました。

なぜVRをそんな冷めた目で見てしまっていたか? 理由は単純で「セットアップがめんどうくさい」「スマホを差し込むタイプだと画面が小さい」「パソコンやゲーム機とつなげるやつはお金がかかる」といった、VRを体験したことある人なら誰しも不満に思っていたことが理由でした。

そんな時に出会ったのが「Oculus Go」(オキュラス ゴー)でした。VR機器も進化すればいずれこういうものが出るであろうことは想像できていましたが、実際にそれを目にすると、自分の想像力のなさに愕然としました…。

そう、「Oculus Go」を見た瞬間に、これこそがデジタル波動の第五波だ!と確信しました。

そもそもOculusって何なの? OculusシリーズのまとめとGoのすばらしさ

まず初めにOculusには以下の3つのタイプが存在します。

Oculus Gear VR
Oculus Rift
Oculus Go

Oculus Gear VR

Oculus-GearVR

https://www.oculus.com/gear-vr/

いわゆるスマホVRの類に属するものです、価格のハードルも低いし、それなりのVRを体験できるのですが、日ごろポケットに入れているスマホをわざわざVR本体に装着させるというめんどうくささがどれだけ受け入れられるか疑問です。

そもそもスマホをスマホケースに入れている場合は、スマホケースから取り外す、VR本体にスマホを装着するという、おそろしく手間暇かかる装置でもあります。

筆者も含め、スマホVRの感想は「VR面白いけど、いちいちスマホをセットするのめんどうくさ~」っていうのが大半ではないでしょうか? アマゾンで3000円ぐらいで売ってたから、試しに体験してみるか! と買ってみたはいいけど、今はまったく使ってないという方は、ぜひともその無駄遣い体験を世間様に公表することで、次のステップの肥やしにしてみてください。(意訳:シェアボタン押してね)

Oculus Rift

Oculus-Rift

https://www.oculus.com/rift/

こちらはパソコンと接続して体験するタイプのVRになります。プレステ4とくっつけるPSVRなどと同じポジションにあるタイプになりますね。

PSVRもそうですが、パソコンなどと接続して使うということは、それだけめんどうくさいということです。大人になると据え置きゲーム機でも遊ばなくなったな~とか、最近はスマホで事足りるからパソコンとか使わなくなったな~という人にとっては、ゲーム機やパソコンの電源ボタンを入れるという動作がVRの前に立ちはだかる巨大な壁のようになってしまうというところでしょうか。

しかもスマホVRと違って、値段がやたらめったら高い! Oculus Rift本体で5万円で、そこにパソコン代がかかるんですから、ふつうに2ケタ万円いっちゃいますね…。(スマホVRもスマホ代を換算したらあれですが)

Oculus GO

Oculus-Go

https://www.oculus.com/go/

と、そこに登場したのがOculus Goになるわけです。このOculus Goはなんとスマホやゲーム機、パソコンなどを必要とせず、これ単体でVRが楽しめるという超優れもの!しかも値段も2万3800円(32GB)と安いものですから、これまでVRの障害となっていた「めんどうくさい」とか「値段が高い」なんてものが全て吹き飛んでしまいました。

VRを縛っていた鎖から解き放たれたVRこそがOculus Goであり、例えるならS2機関を取り入れアンビリカルケーブルから解放されたエヴァンゲリオンのようなものです!(例え話がすごくわかりにくくすみません)

Oculus GoはS2機関を取り入れたエヴァ初号機。もうこれだけでOculus Goがどれだけすごいのか想像できるかと思いますが、例え話ついでにガンダムでも例えてみると、Oculus Goは二人乗りから一人乗りに改造されたガンタンクとかでしょうか(マグネットコーティングを期待していた人すみません)。これまでリュウとハヤトがいないと出撃できなかったガンタンクがハヤト一人で出撃できるようになれば、どれだけ戦略に幅がでるのか…。

と、こういう例え話を書いていると、まるでエヴァ初号機とガンタンクが同じぐらい強いと勘違いされると思いますが、たぶんエヴァ初号機にかかればガンタンクは数秒で鉄くずにされると思いますので、あくまで利便性ということを話したかったと強調させていただきます。

とまぁ、Oculus Goの素晴らしさを語るつもりが、すっかり脱線してしまいましたが、3機種のそれぞれの立ち位置を表にするとこんな感じですかね。

VRマシンのマトリクス

Oculus Goを触ってみて

まず一番気になるのは「視界」かと思いますが、当然スマホVRよりは画面が大きい感じで、ほぼほぼ視界の全てを画面が覆うような勢いですが、四辺に少し黒いのが入ってしまうので、ちょうどメガネをかけるとメガネのフレーム部分が視界を遮るというのをイメージしていただければと思います。なので、日ごろからメガネをかけて生活されている方にとってはほぼほぼ全画面表示に近い体験が得られるかと思います。

その次に気になるのは「画素」でしょうか。これについては、最初の感想を正直に話すと「画素荒いな」というものになります。ただ目も当てられないほど荒いというものではなく、Retinaディスプレイ搭載前のiPhoneのような画素の荒さになります。

そしてもちろん「アプリ」も気になりますよね。
まだ全部のアプリを体験したわけではないのですが、Oculusのアプリは大きく分けて3つのカテゴリーに分けられるかと思いました。

・動画(写真)閲覧(Netflix、YouTubeなど)
・ゲーム
・コミュニケーション(Oculus Roomsなど)

おそらくVR初体験の人は手軽に楽しめる動画(写真)閲覧などにいくと思いますが、先述した通りの画素の荒い画面でも没入感が半端ないので、ジェットコースターとかスカイダイビングの映像を見ていたら普通に3D酔いして寝込んでしまいましたし、DMMの動画を観たら、まるで女の子が自分のすぐ横にいるような錯覚を味わったりもしました。

Oculus GoでAmazonプライム

Oculus Goのブラウザを使ってAmazonプライムを見たのですが、専用アプリの登場が待たれます。

ゲームについては、「ゲーム」というワードでひとくくりにして評価するのも無理な話ではありますが、ゲーム自体はすごくシンプルなのに妙な没入感があって、なじみのあるゲームシステムなのに新鮮ですごく面白い!という印象です。当然ながら動画アプリに比べて多種多様なコンテンツが出てくるジャンルですが、今後どういうゲーム(アイディア)が出てくるか楽しみです。(日本だとVRに移行してもやることはガチャだった!な予感がしないわけでもないのですが)

Oculus Goの釣りゲームBait!

釣りゲーム「Bait!」日本でもガラケー時代より釣りゲーは愛されていますが、GREEさんもう準備してますか?

Oculus Goのゲームアプリ「Wonder Glade」

「Wonder Glade」いわゆるミニゲームの詰め合わせゲームなのですが、いろんな操作でゲームを遊べるので、Oculus Goを初めて触ったという人には超オススメ!

最後のコミュニケーション系のアプリについては、古くはセカンドライフなんかをイメージしてもらえればいいのかもしれません。ヴァーチャル上の同一空間にアバターを介して集まるわけなんですが、なんとも筆者の周りには誰もOculus Goを買ってる人がいなくて、完全に独りぼっちです。こないだFacebookに登録して10年が経ちましたが、Facebook登録時も、まわりはみんなmixiとかモバゲーとかで、一人寂しい思いをしてました。そんな淡い思い出がよぎってきて、あれ…目から汗が……。

Oculus Roomで遊べるオセロ

友達がいないので一人オセロに興じる図…。

で、あんまりにも一人寂しいので「最近のAI(人工知能)とか使って、お話相手ぐらい置いておいてくれないかな~」とか思ったりしましたが、あれ? もしかしたら近い将来、本気でAIがアバターを操るようになって、アバターを介して人間とAIがコミュニケーションをとって、さらには恋愛関係に落ちることもあるんじゃないでしょうか。(人間側の一方通行な好意ではなく、双方が求めあうという意味での恋愛関係)

よく一般的にイメージするのは、AIが人間と対等な関係を築くのには、まず超高性能なロボットのカラダを手に入れて、そのカラダにAIを入れてって考えがちですが、超高性能なロボットを必要とせず、VR内のアバターを介してAIが人間と同じ目線に並ぶ未来…。好きになった人が実はAIだった!? その時アナタはどうしますか? 的な未来

今はまだあれですが、GoogleのAIはまるで人間のように電話対応までしてしまうという話ですし、VRとAIの掛け合わせって、実は現代の人がイメージしている以上にすごい未来を創っちゃうんじゃないでしょうか…。

実は本コラムのタイトルに「Oculus Goは電脳アイドルの夢を見るか?」とつけたのは、そういう妄想に夢を見て、無理くりそういうタイトルにしたという経緯があります。

あと、この場を借りて発言を一部修正させていただきますと、先にデジタル世界のエリオット波動第五波はVRと言いましたが、第五波は「VRとAI」の波になると思います。

バーチャルリアリティとブランディング

あれもこれもと空想未来の話をしてしまうとキリがないのですが、おそらく次の未来はVRというのはほぼほぼ間違いないでしょう。あと2、3年もすればもっとVRが身近な存在になり、企業なんかがこぞって自社ブランディングにVRを取り入れ始めるかと思います。

もしアナタがブランディングの仕事をしているとして、2、3年後に急にVR上でのブランディングの話を受けたらどうしますか? なんかよくわからないけど、安っぽいお城の3Dモデリングに会社の看板かかげて、城内に商品を陳列するようなことしちゃいますか?

そう!ブランディングを生業とするなら、誰よりも早くトレンドを察知して、それを活かす方法を誰よりも長く深く考える必要があると思うのです。何もVRの開発者になってプログラムをガリガリ書く必要なんてないんです。ただVRがどういうもので、どういう可能性、どういう伝え方があるかを知っておく必要があるのでは? というのが当ブランディングラボの見解であり、みなさまにも1日も早くVRを体験していただき、2、3年後に備えていただきたいと切に願う次第であります。

ちなみにブランド・マネージャー認定協会が毎年開催しているブランディング事例コンテスト、2017年の準大賞はブランディングにドローンの要素を取り入れておりますが、近い未来のブランディング事例コンテストでは、VRをつかった技法なんかが大賞を獲ったりするかもしれませんね。

その時、壇上でスポットライトを浴びるのは、このコラムを読んでいるアナタかもしれません。

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