セミナー・実践会・相談会でブランド課題を解決する

Case Study

MINIがロゴ一新! 伝統思考? 未来志向?

投稿日:2018年5月9日 更新日:

MINIのロゴ

BMW傘下のMINIが2018年3月、ロゴを18年ぶりに変更しました。「フラットデザイン」というデザイン様式を採用したロゴには、どんな思いが込められているのでしょうか。考察してみました。

「フラットデザイン」に込めた思い

1959年に英国車として登場、ザ・ビートルズのメンバーらセレブリティにも愛され、1994年にドイツBMWの傘下になってからも、根強い人気を誇る自動車MINI。そのMINIが2018年3月、ロゴを18年ぶりに変更しました。ボンネットやステアリング、ホイールの中央、リモコンキーなど各所に配されます。

「MINI」の大文字を円で囲み、両翼を付けたお馴染みのモチーフはそのままですが、ブラックとグレーの陰影が付いた立体的なロゴに代わり、「フラットデザイン」と呼ばれる平面的なデザインのロゴになりました。
旧ロゴは「ドライブの楽しみ、独特のスタイル、プレミアムな品質」を表象した世界的にも親しまれたロゴでした。BMWはそれをあえて一新したのです。

BMWは新ロゴについて伝統思考(Tradition-conscious)と未来志向(Future-oriented)の両方を表現したと述べています。伝統思考、かつ未来志向。確かにロゴのモチーフが1959年のロゴを起源としている点で伝統的ですし、近年のWindows PCやiPhoneのユーザーインターフェイスにも使われているフラットデザインは、とても近未来的な印象を与えます。

SF映画のような未来像

MINI_VISION_NEXT_100

ヒントはBMWが2016年に100周年を迎えたのを機に掲げられたビジョン「MINI VISION NEXT 100」にあるように思えます。MINIの次の100年を見越したビジョンには、「未来志向」が詰まっています。

例えば「シェアリング・エコノミー」のコンセプト。1台のMINIをみんなで共有(シェア)する世界。ドライバーが降りた後は次のドライバーのところへ自動運転で移動し、清掃と充電を行います。そして次のドライバーに合わせて見た目も使い心地もカスタマイズされます。まるでSF映画のようですね。

このような世界が実現するのは10年後、あるいはそれ以降かもしれませんが、MINIは確実に未来のモビリティ社会に向けて動き始めています。その象徴として、新しいロゴが生まれたのかもしれません。

「乗り心地」というコンセプトを守る

MINI

では、MINIが守りたい伝統とは何でしょうか。一番はMINI独特の乗り心地「ゴーカートフィーリング」です。

ゴーカートフィーリングとは名前の通り、遊園地などで楽しめるあのゴーカートのような、キビキビとした、スピード感を感じさせる乗り心地のことです。MINIは伝統的に、この「ゴーカートフィーリング」を守り続けてきました。

そして「MINI VISION NEXT 100」においても、ゴーカートフィーリングをうたっています。むしろ、フロントを透明にするなどして、よりスピード感を感じさせる乗り心地を追求しているのです。

伝統を未来において追求すること

長い歴史を持つブランドは、必ずと言っていいほど、守るべきものと変えていくべきもの、「伝統意識」と「未来志向」の兼ね合いの問題に直面します。

しかしMINIの事例を見ると、「伝統思考」と「未来志向」は矛盾するものではないことがわかります。伝統として受け継がれたコンセプトを未来においても追求することが、ブランドを維持する秘訣なのではないでしょうか。

関連記事

【特別寄稿】『ミッキーの家』に11時間待ち?!

東京ディズニーランドの「ミッキーの家とミート・ミッキー」で11時間待ちという驚きの記録が生まれたそうですね。 キャラクターが生まれて90周年という記念すべき日ではありましたが、特別のイベントもなく、平 …

コロナ時代 ブランドの「選択と集中」で経営革新 <前編> ~資生堂 パーソナルケア事業ブランドを売却~

資生堂が、主力事業の一つであるパーソナルケア事業ブランドの売却を決めました。 資生堂/パーソナルケア事業1600億円で譲渡、合弁事業化で新会社設立 https://www.ryutsuu.biz/st …

「イノベーションのジレンマ」を「両利きの経営」で乗り切る~コダックVS富士フイルムの事例に学ぶ

時として業界をリードする優秀な大企業が、革新的な技術を持った新興企業になすがままに敗れ去ることがあります。ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授は、このことを「イノベーションのジレンマ」と …

ローカル線は廃線の道を辿るしかないのか?銚子鉄道から学ぶ、弱者の生き残りマーケティング戦略

地域経済の足となってきたローカル線ですが、一時的なローカル線ブームも落ち着き、人口減少に伴う利用者不足の影響により、廃線となる路線が再び増えてきています。 石勝線夕張支線が126年と5か月の歴史に幕… …

“シン”・ブランド戦略 コロナ禍に見た飲食業界の起死回生 ~ ゼンショーグループ 店舗ブランド・コラボレーションによる新規顧客獲得作戦! ~

飲食関連企業は、どの企業も感染症問題の影響を受けて厳しい状況が続いています。2020年は、その影響が大きく、過去最大の落ち込みを記録しました。 2020年の「外食売上」、コロナ影響で過去最大のマイナス …

サイト内検索