資生堂のグローバルブランド「BAUM」が、日本パッケージデザイン大賞2023の頂点である大賞を受賞
大賞は応募総数1060点の中で1作品のみが選出される最高賞です。BAUMの木製パーツは家具の端材のアップサイクル、レフィル容器やチューブは植物由来PET や紙を使用して樹脂量を削減しており、また樹木資源を未来につなぐために店頭で育てた苗木の植林活動をおこなっています。プロダクトデザインの審美性や機能性のみならず、このようなBAUMの活動の社会性も踏まえ、今回の受賞に繋がりました。
(SHISEIDO CREATIVE NEWS 2022.09.20)
SHISEIDO CREATIVE NEWS
「日本パッケージデザイン大賞2023」において、満場一致での大賞受賞となった資生堂の「BAUM」。
2020年6月に資生堂の高価格ラインを指す「プレステージ領域」からローンチされたスキンケアブランドで「樹木との共生」がテーマです。
大賞を受賞したパッケージは、レフィルをはめ込むフレームやボトルのキャップに木材が使われており、ブランドのテーマを表すとともに、サスティナブルや多様性への注目が高まる時代の消費者に対するブランドの姿勢やメッセージが込められています。
時代に伴い変化した消費者の購買行動の影響を、大きく受けた化粧品業界
化粧品はスキンケア、メイクアップ、フレグランスの3カテゴリーに大きく分けられます。また販売形態によっても、デパートや専門店で美容部員が接客販売するものはカウンセリング化粧品、ドラッグストアなど消費者が自分で選んで購入するものはセルフ化粧品に分けられます。
ただ、この販売形態はインターネットの浸透により大きく変化しました。
以前は訪問や店頭で美容部員が実際に消費者に施したり、商品を紹介して購入する、つまりカウンセリング化粧品が主流でした。しかし今ではネット上での消費者の口コミが購入の動機へ大きく働きかけるようになり、カウンセリング化粧品であってもネット上の情報を消費者自身が調べ、購入する消費行動が当たり前になってきています。
販売のチャネルも実店舗、訪問、通販と3つに大別されていましたが、現状ではほぼ実店舗とネットでの販売に分けられるようになったと言って良いでしょう。
そもそも化粧品は消費者が実際に目で見て、使ってみて購入されるものでした。専門の美容部員が実際に使ってみせ、化粧品の成分や他社商品との違い、効果的な使い方を説明する必要がありました。
さらに化粧品の価格帯は非常にバラツキがあり、使用する消費者の年齢層も幅広く、そして個人によって使用する環境や肌質、好みなど多種多様に渡ります。
つまり、自分にぴったりの化粧品を選ぶことが消費者には難しいという前提があり、そして販売する側も自社が開発した背景や成分、使い方、などの膨大な情報を伝え、顧客を繋ぎ止めるために直接販売したい思惑がありました。
しかし、現在ではメーカーの情報よりも口コミが信じられる時代となり、消費者は膨大な情報の中から自分に合うもの、興味のあるものを自分自身で選ぶようになりました。ネット販売に消極的と言われた国内化粧品メーカーも、今はオムニチャネル戦略へと舵を切っています。
さらに化粧品の減価率は25~40%と低く、その分パッケージやプロモーションなどブランドを作る部分と開発製造にコストがかかるビジネスモデルです。
使ってみないと分からない、まずは購入してもらう必要がある化粧品は、消費者が購入に至るまでの認知とイメージ作りが非常に重要です。ネットが主流になる以前は認知のために、有名人を起用しCMを流す、また大手百貨店への出店など販促費に多大なコストをかける必要がありました。
しかし個人の発信力が高まることでマスに向けた広告をうたずとも、消費者による口コミがマスプロモーションを凌ぐほどにまでなり、さらには知識を得た消費者からは厳しい評価を下されます。
化粧品業界では、プロモーションにコストをかけず含まれている成分や効能のみに特化させて価格を下げる、莫大なプロモーションコストをかけイメージ戦略をとる、100円均一店舗のプチプラコスメもあれば10万円を超える高級クリームのプロダクトによる差別化などなど、さまざまな消費者へのアプローチが繰り広げられる事態となっているのです。