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Case Study

「ガリガリ君」の本質は「くだらなさ」? 口コミマーケティングの優等生に学ぶ

投稿日:2018年7月6日 更新日:

ガリガリ君

猛暑にはかき氷。でもわざわざ家に帰ってスプーンですくって食べるのは面倒くさい。それなら外にいても片手で食べられるかき氷を作ろう――ということで開発されたのが、赤城乳業のアイスキャンディー「ガリガリ君」です。外はさくさく、中はガリガリとした食感、夏に持ってこいの清涼感、そして70円に抑えた良心的な価格で、今や夏のアイスの超定番となっています。しかし、ガリガリ君の人気は、味や価格だけではなく、巧みなマーケティング戦略に基づいています。分析してみましょう。

親しみやすいとはいえないキャラクターにも理由が

ガリガリ君のプロフィール

ガリガリ君の世界観は「元気で、楽しく、くだらない」です。年間4億本以上を売り上げるロングセラー商品でありながら、その本質は「くだらなさ」にあります。

例えばガリガリ君のキャラクター。頭はバリカンでぼこぼこにされたいがぐり頭。豚っ鼻。無駄に大きい口を広げ、歯はむき出し。大人にとっては親しみやすいとは程遠いキャラクターです。2000年前後には「嫌いなキャラクター第4位」に挙げられ、特に女性層からは全否定に近い意見が占めるなど一見不評のキャラクターです。しかし赤城乳業はキャラクターに関しては大がかりなリニューアルを行っていません。

その理由は、このようなくだらなさ、低俗さが、ターゲットである小中学生の感性にマッチしているからです。
どの世代の方も、何で子どものころは、あんなくだらなく、単純で、ナンセンスなもの(ザ・ドリフターズからピコ太郎まで)にはまっていたのか不思議に思うでしょう。しかしそれが子どもの感性だといってしまえばその通りなのです。こういったナンセンスなキャラクター展開は、大手予備校などでもおこなわれています。

企画商品は世界観を伝えるための手段

「くだらなさ」といえば、「コーンポタージュ味」「ナポリタン味」「メロンパン味」など、企画商品の「くだらなさ」もガリガリ君の特徴でしょう。「コーンポタージュ味」は品切れを起こすほどのブームとなり、一方「ナポリタン味」は約3億円の損失を出したといわれています。

しかし当のマーケティング部長は「(コーンポタージュ味はブームになってしまって)失敗しちゃったな」「(ナポリタン味は3億円の損失を出したと話題になったということで)それでしょうがないなというところがある」とあまり売上を意に介していません。数々の企画商品も、実は「元気で、楽しく、くだらない」という「ガリガリ君」の世界観を伝えるための手段なのです。

また、「元気で、楽しく、くだらない」といえば、駄菓子屋を連想します。かつての駄菓子屋に置いていた商品のような、遊び心、いたずら心に富んだイメージも、ガリガリ君の人気の秘訣なのでしょう。

ガリガリ君コーンポタージ味

失敗さえ話題に変えるマーケティング手法

ガリガリ君は日本で最も売れている氷菓の1つでありながら、あえてスタンダードではなくアンダーグラウンドな世界観を追求した結果、様々な都市伝説が生まれ、SNSで広まっています。全国テレビ局のフジテレビさえ、「火星ヤシ味」というネットで生まれた架空の商品を誤って番組で紹介してしまうほどです。

近年のガリガリ君の売上拡大は、SNSの普及とともにあるといってもいいでしょう。
赤城乳業のしたたかなところは、失敗さえ話題に変えるマーケティング手法です。例えば2016年に25年ぶりに値上げに踏み切った際も、本社工場前で役員・社員一同が深々と頭を下げている広告を新聞広告やテレビCMで流しました。これは一種のブラックジョークだったのですが、海外のテレビ局で真剣に取られて報道され、それがまた日本で話題になるなど、大きな反響を呼びました。そしてCMそのものは、赤城乳業は25年も値上げを行わない誠実な企業であるとして好意的に受け止められています。

前述の「ナポリタン味」の大失敗にしてもそうです。3億円の損失を受けながらも意に介さないチャレンジングでオープンな社風なのだというイメージを植え付けることに成功しています。

安くて、おいしい商品だからこそ通じるマーケティング手法

以上、ガリガリ君のマーケティング展開を考察してみましたが、成功のもっとも大きな理由は、あくまでも品質と価格にあると思われます。赤城乳業は1981年の発売以来、ガリガリ君の品質改良を絶え間なく行っています。価格は前述のように良心的です。庶民にもやさしい企業、みんながおいしいと思える商品を目指しているからこそ、このようなアンダーグラウンドなマーケティング手法も生きるのだと思います。商品開発とマーケティングの両輪がうまく回っている好例だといえます。

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