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Case Study

瀕死のコロナ禍エンターテインメントビジネスの活路とは  ― ディズニーランドの生き残り戦略 【後編】

投稿日:2021年6月30日 更新日:

では、今回取り上げるオリエンタルランドが運営する事業ブランドを実際にこのマトリクスにまとめてみますと、結果は下記の通りです。

ビジネスモデルの構造上、収益に特化した企業であることが理解できます。また、事業ブランドの競争優位性を重視した視点で経営していることも推察されます。そして、このマトリクスを作成した結果、オリエンタルランドでやや不利な立ち位置にあるのが、その他事業であることが窺えます。

その他事業は、主にイクスピアリなどの物販関連事業ですが、収益性が低めであり、なおかつ今回の感染症問題によるテーマパーク休業に伴い、大きく売り上げを落とす結果となっています。ここから、テコ入れが必要となるのは、この事業であると言えるでしょう。
そのため、テーマパークが休業していても、単独で事業が成り立つような事業構造を構築しておくことが必要であるということがわかります。

これまでは、イクスピアリなどのその他事業は、テーマパーク事業に寄り添う形で収益を上げてきましたが、自立して事業を運営させていくことが、今後は求められることになります。

しかし、イクスピアリなどの物販を含めたショッピングモールは、競争環境が激しいため、独自性が発揮されないと競合企業には勝つことができません。そのため、顧客がわざわざそこに足を運ぶだけの理由を、グループ企業のコンテンツに頼り切らない方法で実現しなくてはならないのです。

ここから検討されるべきことは、これまでのように受動的に顧客を待つのではなく、自ら顧客へ近づいていくことです。
つまりは、「イクスピアリ」ブランドをディズニーランドの関連施設のある地域以外でも展開し、他のショッピングモールのように全国展開させていくという発想の転換も必要となるのではないでしょうか。

他のショッピングモールとの差別化のためには、ディズニーランドで廃番となった商品の販売や、ディズニーランド関連施設では廃止となったフードメニューの販売を行うことなどで、これまでの経営資源を効率的に使うことも可能となります。

ディズニーランド関連施設では最新のグッズやフードメニューを購入し、その他地域では「イクスピアリ」ブランドとして去のグッズやフードメニューを購入できるなど、顧客もそれぞれの施設での役割分担や楽しみ方を選択することが可能になるでしょう。

これはとても困難なことかもしれませんが、前編で紹介したオリエンタルランドのプロダクト・ポートフォリオを考慮すると、これからのオリエンタルランドのグループ全体の経営課題として問題解決を図っていかなくては、今回のような感染症問題が発生した際に、グループ全体が総崩れすることになりかねません。

企業の危機時に必要となるのは、とにかく選択肢を増やしておくことに尽きます。オリエンタルランドの今後の生き残りのためにも、その他事業、特にショッピングモール運営力の強化を図っていただければと考えるところです。

一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 エキスパート認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。
現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。

https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/

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