セミナー・実践会・相談会でブランド課題を解決する

Case Study

ブランドリニューアルの難しさを考察 アサヒスーパードライのブランドリニューアル【後編】

投稿日:2022年4月28日 更新日:

前編では、アサヒスーパードライのフルリニューアルについて、コトラーの4つのブランド戦略を用いて解説しました。

今回は、その不安点について検討してみます。

一般的に主要ブランドのリニューアルは、長年の固定客がいるほど難しくなります。
ブランドは、ブランド活性化のために時代に合わせたリニューアルも必要となりますが、リニューアルの内容によっては既存の固定客から反発を受けてしまうこともありますし、ブランド力が弱まったことで顧客が離反する可能性もあるためです。

自動車業界を事例として挙げますと、かつてのバブル時代にトヨタで人気だった自動車として、マークⅡという名車があります。

トヨタ マークⅡ

(wikipedia)

マークⅡは1980年代にはカローラに次ぐ販売台数のヒット車でしたが、現在は後継車であるマークXも販売終了となっています。

これは、既存顧客の要望に応えることと同時に、時代に合わせたブランドコンセプトを両立させることが難しかったことが要因として考えられます。

マークⅡは大衆車であるカローラよりも遥かに高級車でしたが、クラウンよりはグレードが下という位置づけの車でした。バブル崩壊後は自動車にもコストダウンの波が押し寄せますが、マークⅡもその流れを受けてコストパフォーマンスを重視した車作りになっていき、段々とブランドコンセプトが揺らぎ始めます。

その後、マークⅡは徐々に新規顧客の獲得ができず、固定客が細々と乗り続ける車になっていきました。その結果、年配層が乗る車というブランドイメージが固定化してしまい、固定客ですら減少していくという過程をたどっていきます。

再度、スポーティーセダンというブランドコンセプトを掲げてマークXとしてフルリニューアルに挑みましたが、最終的には顧客からの支持を獲得しきれず、2019年に生産終了となりました。

 > 続きを読む 

関連記事

返金イメージ

RIZAPは良心的? 全額返金保証ビジネスを比較する

RIZAPの売りは全額返金保証。でも調べてみると、生鮮食品から浄水器、掃除機、ホテル、タイヤ、葬儀屋まで、さまざまな返金保証を採用している企業があるんです。 「三日坊主」への甘いささやき、全額返金保証 …

パワースポットという地域資源を用いた「茨城県」の新たなブランディングを考察する

埼玉県を徹底的に揶揄しつつ、千葉県との壮絶な争いと東京への憧憬を描いた内容で話題となった、映画『翔んで埼玉』が大ヒットとなりました。地域に及ぼす影響も大きく、映画に登場した埼玉銘菓は、注文が数倍になっ …

日本を代表する印刷会社が「印刷」の二文字を外した意味

引用元 「印刷会社」から「世界中の課題を突破する会社」へ! 社名に込められた新たなブランド・アイデンティティとは? 2023年10月1日。大日本印刷株式会社(通称:DNP)と並び、日本の印刷会社の二大 …

M&Aによるブランドシナジーを考察 ーカインズによる東急ハンズのM&A【前編】

都市部を中心に雑貨販売の店舗を展開する東急ハンズ社が、郊外・地方を拠点にホームセンター店舗を運営するカインズ社に傘下入りすることで合意しました。 東急ハンズ、カインズ傘下に…将来は名称も変更へ 東急ハ …

ポッカサッポロの新コンセプト 経営戦略とマーケティング戦略に基づく、経営統合と共同開発

ポッカサッポロ、北海道産の7つの素材を使用したブレンド茶 「北海道やさしい旨茶」を発売 ポッカサッポロフード&ビバレッジは、北海道で収穫(焙煎等の加工は北海道外の国内で行っている)された7つの素材(と …

サイト内検索