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Case Study

任天堂が挑むブランド拡張〜カギとなるのは親しみやすいキャラクター〜

投稿日:2018年2月28日 更新日:

任天堂のWebサイト

世界的なゲームメーカーとなった任天堂。一貫してゲームユーザーのすそ野を広げることを基本戦略としてきました。その過程で誕生した親しみやすいキャラクターを拡張させ、新たな事業領域の進出にも挑戦しています。任天堂のブランド戦略を見ていきましょう。

「大人も子供も、おねーさんも」

mother2

1983年に据え置きテレビゲーム機「ファミリーコンピュータ」を発売して以来、任天堂は一貫して「親しみやすさ」を追求してきたように思えます。

一例を挙げると、任天堂が1989年に発売したゲームソフト「MOTHER」は、ゲームのトレンドに対するアンチテーゼでした。それまでのRPGゲーム(冒険を通じてキャラクターが成長し、より強い敵を倒していくゲームジャンルの1つ)は、敵を倒すことで経験値があがり、お金ももらえる、一種殺伐とした世界。しかし「MOTHER」においては、敵が負けても「大人しくなる」だけで、自分が負けても「気絶する」だけ。お金はお父さんが銀行に振り込んでくれる。細かな設定の違いのようですが、倒したり、殺したりするゲームに抵抗のあった女性層やライトな層にも配慮したディテールでした。

1994年に発売された続編「MOTHER2」のキャッチコピーは、「大人も子供も、おねーさんも」。まさに誰もが楽しめるゲームづくりという任天堂の基本戦略を一言で表したコピーです。

ゲーム人口の拡大を目指した任天堂

子どもたちがゲームをしている様子

誰でも楽しめる商品の提供。それが任天堂のこれまでの基本戦略でした。任天堂の社長メッセージには次のような記述があります。

「世の中の人々を、商品やサービスを通じて笑顔にしていく」という信念のもと、年齢・性別・過去のゲーム経験を問わず、誰もが楽しめる商品を提案することで「ゲーム人口を拡大する」ことを基本戦略としてきました。

任天堂はこの戦略に徹したときに成功し、逸脱した時に失敗しているのではないでしょうか。例えばソニーの据え置きテレビゲーム機「プレイステーション」に対抗して、ハイスペックを追求した「NINTENDO64」は、ライトな層には受け入れられませんでした。誰もが持っているスマートフォン向けのゲーム開発をかたくなに拒んでいた時期もあります。

一方、タッチペンでの簡単な操作に徹した携帯ゲーム機「ニンデンドーDS」は、子供から大人までに受け入れられました。特に「脳トレ」といわれる記憶力・判断力を鍛えるトレーニングゲームは、中高年という新しい層を開拓しました。据え置き機「Wii」においては、直感的な操作ができるコントローラーで、これまでの高度化・複雑化したゲームのトレンドに一石を投じています。

順調に拡大していったと思われがちなゲーム業界ですが、1997年から数年間、ゲーム市場が縮小し、「ゲーム離れ」が取りざたされたこともありました。そんな中で、コアなゲームファンに迎合するのではなく、ゲームユーザーのすそ野を開拓していった任天堂の戦略は、長期的にみて成功だったといえます。

キャラクターを活かしブランド拡張へ

amiibo

親しみやすさを追求した結果、マリオやカービィなど、愛すべきキャラクターも生まれました。任天堂は「ゲーム人口の拡大」からさらに一歩前進して、「任天堂IP(知的財産)」に触れる人口を拡大することに注力しています。IPにはもちろんこれらのキャラクターが含まれています。

例えば、任天堂の社長は次のような戦略を発表しています。

任天堂のキャラクターをフィギュア化・カード化し、ゲーム専用機と連動することでより遊びの幅を広げるamiibo(アミーボ)の販売や、テーマパークでのキャラクターを使ったアトラクションの展開、映像コンテンツやマーチャンダイジングを通じたキャラクターの露出の拡大

ある製品で確立されたブランドを他の製品やカテゴリーに使用することを「ブランド拡張」といいます。経営学者のデービッド・A・アーカーは、史上もっとも重要なブランド拡張として、「アニメ映画」から「テーマパーク」にブランド拡張したディズニーを例に挙げています。

任天堂も将来的にはディズニーのように、エンターテインメント総合業にブランド拡張するかもしれません。実際にスーパーマリオをテーマとした映画の製作も発表しています。
スマートフォンのゲームが台頭する中で、一時はゲーム専用機の任天堂の危機がささやかれた時期もあります。しかし任天堂は前を見据えて、事業展開の次の手を打っているのです。

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