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Case Study

24時間フィットネスジムの成長の理由は「引く戦略」にあり

投稿日:2018年4月4日 更新日:

Fit&GO

(出典:https://fitgo.jp/

24時間マシンを利用できる「24時間フィットネスジム」が急成長しています。その成功の理由には、従来のジムの無駄をそぎ落としたことが挙げられます。

コンビニ大手も参入

フィットネス市場が好調です。近年は2008年の金融危機を除けば成長基調が続き、2016年には前年比2.7%増の2375億円(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」より)となりました。

とりわけ注目を集めているのが24時間セルフ型フィットネスジムの伸長です。2010年に「エニタイムフィットネス」が日本に上陸した時はほとんどなかった業態でしたが、エニタイムフィットネスは2018年1月には300店舗にも達し、後続の「ジョイフィット24」や「ファストジム24」なども店舗を増やしています。また大手コンビニのファミリーマートはコンビニの2階に併設した24時間制のフィットネス「Fit&GO」をオープンしています。

ランニング

荷物を抱える必要がないというメリット

24時間フィットネスジムが多くの人に受け入れられた理由はなんでしょうか。

1つは24時間フィットネスジムに相応しく、夜間人口の多い住宅地周辺に立地していることです。自宅から歩いていける距離の店舗はどの業態でも便利ですが、とりわけフィットネスジムにおいて特にメリットを発揮するのは、荷物に関してです。ターミナル駅周辺にある従来型のフィッツネスジムでは、会社帰りにビジネスバックとともに着替えや靴などの荷物を抱えて通うことになります。従来のフィットネスジムにもレンタルロッカーはあるのですが、別料金ですし、スペースも限られています。衛生上靴をいれてはいけないと定められているジムもあります。

ロッカー

2つめは、やはり夜間や早朝にも営業していることです。「夜間も運動するなんてかえって不健康だ」という批判は、24時間フィットネスジムが日本で登場した当時から現在までありますが、残業帰りに、例えば午後10時の閉店時間を気にしながらトレーニングするのは落ち着きません。逆に健康志向な人は早起きですから、出勤前に体を動かしたいという人も多いでしょう。

夜中に目が覚めてしまって、気分転換にぶらっと立ち寄る場所としても適しています。高級ホテルがジムを備えているのと同じ理由です。もちろん夜型の生活をしている介護や看護などの人が利用しやすいというのもあります。

3つめは価格です。夜間早朝は無人化するなど人件費をできるかぎりそぎ落とし、プールやスタジオなど運営費のかかるサービスは行っていません。そのため従来のフィットネスジムに比べて30%ほど割安で利用できます。

開店・閉店の労力を省く

以上は利用者側のメリットですが、運営側にもメリットの多い業態です。総合型フィットネスジムの柱は「トレーニング設備」「プール」「エクササイズスタジオ」ですが、プールは水道光熱費やスペースのコストが膨大にかかりますし、エクササイズスタジオもレッスンごとにトレーナーを抱えていかなければなりません。そのコストを省けるのは大きなメリットです。

2つ目は、24時間営業にすることによって、開店・閉店の労力がなくなることです。夜間・早朝は無人ですから、その方が人件費抑制になるのです。

「足す」のではなく「引く」

24時間フィットネスジムの成長の理由についてみてみましたが、「足す」戦略ではなく「引く」戦略が成功の要因だと考えられます。そもそもジムの利用者は、プールを求めているのでしょうか。1986年と2011年を比べて、水泳の行動者は25歳~29歳で30.0%減少しています。(総務省「統計トピックスNo.64 統計からみたスポーツの今昔」)長期的な「水泳離れ」が進んでいるのです。

「そもそも」と考えると、いろいろな「引く戦略」が見えてきます。そもそもトラック走や卓球台などのスペースは必要あるのか、そもそもスタッフはそんなに多く必要あるのか、そもそも商業地の一等地に出店する必要があるのか、そもそも開店・閉店する労力は必要あるのか、などです。

何かを足すだけではなく、引く戦略も考えてみれば、新しい業態も見えてくるでしょう。

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