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話題の事例

自販機が地域ブランディングに貢献する?

投稿日:2019年6月21日 更新日:

宮崎市にあるみやざきアートセンター付近に設置された自販機。一見するとどこにでもある自販機だが、さも当然のような顔で「鶏の炭火焼き」「冷や汁」が並んでいる。

自販機の中でも異様な存在感を放っているこちらの2商品。値段は炭火焼が500円、冷や汁が300円だ。居酒屋ならまだしも、自販機で手に入るとは驚きだ。これにネット上では、「買ってみたい」「宮崎に行きたくなりました」との声も上がっている。

話題の商品を企画し、自販機を設置しただいきち(東諸県郡国富町)の川越道貴社長は2019年6月4日、Jタウンネットの取材に、

「自販機というとジュースが置いてあるという固定観念が強いと思うんですけど、ジュースじゃないもので、地域に関係したものを置いてもいいんじゃないかと設置しています」

と説明。着想自体は4年ほど前からあったが、今年の5月1日から炭火焼を置いた自販機を設置するようになったという。

ライブドアニュース 2019/6/8
「まさかの「冷や汁」自販機、宮崎に爆誕!
ラインナップの理由、設置主に聞くと…」

炭火焼は現在までに1か月で100食ほどが購入されているとのことで、売れ行きは上々のようだ。ちなみに、鶏の炭火焼き、冷や汁ともにカップに入った形で出てくるそう。

街中、あるいは地方でも必ず目撃する自動販売機。無鉄砲に置かれた自動販売機に、「自販機を通して、宮崎のことをもっと知ってもらえたらと思っています」の川越社長の施策から、特産品を有効活用した販売戦略が面白い。

地域が持つ資源に着眼し、具体策として結実させ、その価値を消費者などに確実に伝達し、体験価値を実現するのは、マーケティング戦略として興味深いところである。今回の独自性を発揮し競争から抜け出す販売戦略が、地域ブランディングの貢献につながったと思える。

はやま 紺(はやま こん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 1級資格取得者 
紺デザイン ブランド・クリエイター
シンプルな思考で発想を転換、価値を伝えられないとあきらめていた起業家に価値の発掘、言語化、ビジュアル化を展開し課題解決をサポートしています。「世界観を形につながりたい人とつながるブランディング」を支援中。
http://kon-design.com/

 

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