サステナビリティをビジネスモデルの核に
世界的にSDGsの取り組みが推進される昨今、現代社会が直面する環境問題は企業に新たな責任と役割を求めています。特に、日々天文学的な数字の生産と消費が繰り返されているファッション業界は、その影響力と環境への負荷の大きさから、持続可能な経営の実現に向けた動きが急務とされています。このような業界において、サステナビリティ経営の先頭を走る企業がパタゴニアです。同社は、環境保護をビジネスモデルの核として位置付け、再生可能戦略を通じて業界に変革を促しています。
どこよりも地球環境を考えるブランド
「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」これが、パタゴニアのビジネスの目的です。創業者であるシュイナード一族は、所有する株を新たに設立した2つの事業体、NPO団体ホールドファスト・コレクティブとパタゴニア・パーパス・トラストに譲渡。これにより、パタゴニアに再投資されない資金の全てが地球の自然保護のために使用されます。「パタゴニアの全財産は環境危機と闘うために使われる。パタゴニアの株主は私たちの故郷である地球だけだ」。この宣言と同時に発表された今回の一件は世界中の注目と称賛を集めました。この目的の達成に向け、長く使える高品質な製品の提供、リサイクル素材の使用、倫理的なサプライチェーンの管理、そして資金作りと、一貫した企業ブランディング戦略を展開しています。
<ブランド体験とは>
ブランド・アイデンティティを軸としてブランドの世界観を表現するための具体的な取り組み。(戦術やSNS戦略など)「従来のやり方にとらわれず、公平さと誠実さを重んじ、故郷である地球を守るために、
最高のサービスを提供する会社。(地球が私たちの唯一の株主)」■1% for the Planet.自然環境の保護/回復のために売上の1%を利用する
■環境助成金プログラム
■環境保全活動のストーリー化・配信
■リジェラティブ農業(オーガニックコットンの使用)
■耐久性と修理可能性に重点を置いた製品開発このように、ブランド・アイデンティティを軸に一貫した戦略・戦術を設計していることが分かりますね。
サステナビリティのさらに先へ
気候変動の進行と自然環境の損失が深刻化する中、パタゴニアは環境再生に向けた新たなステップとして、「リジェネレーション(再生可能戦略)」を立ち上げました。この戦略は、持続可能な素材の利用だけでなく、製品ライフサイクル全体での環境負荷の低減を目指す目的があります。また、パタゴニアのブランド戦略においても、製品の耐久性と修理可能性に重点を置いています。同社は、消費者に製品を長く使い続けることを奨励し、不要になった製品はリサイクルや再販を通じて資源の循環を促しています。これにより、廃棄物の削減と資源の有効活用を実現しています。パタゴニアがビジネスをすればするほど環境に良い、そのようなサイクルを創り出すことが理想だと考えているのです。
REGENERATIONとは「持続可能性」を指すサステナビリティに次ぐ概念として生まれたのが「リジェネレーション」です。地球環境を持続させることだけを追求するより、積極的に環境を良い方向に再生しプラスを生み出すことです。日本では馴染みはありませんが、パタゴニアを含む世界のサスティナブル経営の先進企業では当たり前になってきています。
<世界のリジェネレーションの事例>
環境配慮と顧客の価値向上を両立するユニフォーム戦略
同社の取り組みは周囲も巻き込んで広がり続けています。「環境に配慮しながら経済活動を行う企業」という基準をクリアした企業をターゲットに、機能的かつ環境に配慮された素材でつくられたユニフォームを提供する「パタゴニアユニフォームプログラム」。このサービスで提案されるユニフォームは、メンテナンスや修理がしやすいデザインを取り入れています。リペアサービスも充実しており、修理しながら継続的に使い続けることができます。このユニフォームを導入した企業が受ける恩恵は、品質の高いサービスを利用できるだけではありません。「パタゴニアに認められた環境意識の高い企業」という付加価値がついてくるのです。このように、環境に配慮するだけでなく、同じ志を持つ企業の価値も高めている点でリジェネレーションを果たしていると言えるでしょう。
理念を貫き通しことが結果として熱狂的なファンを作る

引用元
このようにパタゴニアは、環境への深い配慮と社会的責任を重視する姿勢で競合他社と差別化を図っています。特に、循環経済に基づくビジネスモデルや再生可能農業、ユニフォーム戦略をはじめとしたリジェネレーションの取り組みは、業界内で他に類を見ない特徴的な戦略です。そしてパタゴニアでは、これらの取り組みを「ストーリー」として、公式ホームページにて消費者に発信しています。パタゴニアのリジェネレーションは世界中のユーザーの共感を促し、結果的に高い支持を集めることに成功しています。あくまで一番のステークホルダーである地球のために企業ブランディング戦略を展開していることが、結果として同社の製品と価値観に共感するファンを増やしています。この一例は極端かもしれませんが、環境問題への取り組みが注目される昨今において、サステナブル経営に根ざしたブランド戦略は無視できないモノになっていくでしょう。
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■千田 新(ちだ あらた)執筆
クリエイティブアソシエイト・コピーライター







