3D足型測定は約15秒、歩行データの解析は約45秒とそれほど時間はかからない。測定から造形完了まで約1時間で終わるという。造形が終われば、後処理などは必要なく、そのまま靴と一緒にユーザーに手渡せる。価格は、靴が2万6000円、ミッドソールが2万5000円、計測費用が2万5000円の合計7万6000円(税別)。計測データは保管されるので、次回購入時には計測費用は不要になる。靴は、13種類の中から選択できる。ECCOは、18年4月にオランダのアムステルダムにあるECCOコンセプトストアでQUANT-Uを公開し、注目を集めた。これまでは試験的に運用してきたが、商用サービスは伊勢丹が世界初となる。
(日経XTREND 2019/02/28
伊勢丹新宿店の集客の目玉に 3Dプリンターで靴をカスタマイズ)
かつて、都市を象徴する存在だった百貨店だが、ここ十数年は”冬の時代”などと揶揄され、業界全体が危機に瀕している。最大の原因は、いうまでもなくオンラインショップの台頭だろう。業界トップの伊勢丹新宿店といえど例外ではなく、すでにいくつかの打開策を打っているようだ。
百貨店とオンラインショップの最大の違いは、「商品に触れるか否か」だ。例えば、オンラインショップで靴を買う場合、手間がかからない一方で、履き心地に満足できるかは怪しい。対して、3Dスキャンの技術を用いれば自分に最適な靴を作れるため、オンラインショップでは難しい「完璧なフィッティング」が可能になる。必然的に客の満足度は高まるはずだ。
そして、伊勢丹の最大の狙いは「話題性」だろう。なにせ「世界初」という言葉のインパクトは絶大だ。またオンラインショップとは異なり、「最新技術の体験」というエンターテインメント性を備えている。普段は伊勢丹を訪れない人が、この技術を一目見るために来店することも考えられる。
百貨店といえば、元来こういった購入以外の娯楽的側面も大きかったが、今回のような取り組みを重ねることで、昭和の頃のような賑わいに近づくかもしれない。
BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ