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御朱印に続く、新たな歴史ブーム。御城印の世界

投稿日:2019年8月23日 更新日:

岐阜県土岐市妻木町の町民らでつくる「妻木城址(し)の会」(黒田正直会長)は、妻木城跡(同町)の「御城印」を作り、1日から授与を始めた。妻木城は土岐明智氏とつながりのある妻木氏が戦国時代に築いたとされる。明智光秀が主人公のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」の波及効果を狙い、市の観光資源としてPRする。

光秀の出生は謎に包まれているが、妻の煕子と妹のツマキは妻木一族との見方が有力視されている。同会によると、近年の山城ブームに加え、「麒麟がくる」の来年の放送決定後から妻木城跡の来訪者が増加しているという。

新たに制作した御城印はB6サイズとほぼ同じ大きさの和紙に、朱色の桔梗(ききょう)紋を印刷した。筆文字で「妻木城跡」と記し、日付のほかに「濃州土岐郡 岐阜県指定史跡」の文字も添えた。妻木八幡神社、崇禅寺、妻木公民館で取り扱う。価格は200円(税込み)。

黒田会長は、希望者に郵送で御城印を送る考えを示し、「本格的な山城だった妻木城跡を多くの人に広めたい」と話す。
問い合わせは同神社、電話0572(57)6441。

岐阜新聞 2019/7/13
妻木城跡に”御城印” 光秀ゆかり、「城址の会」制作

御朱印はすでにブームとして定着し、御朱印ファンも拡大し続けているが、歴史ファンの間で徐々にブームとなりつつあるのが、「御城印」である。

歴史ファンの間では、もともとお城好きは多く存在しており、全国のお城や城跡を巡るツアーなども好評のようである。

そのお城人気を受けて、新たに各地で広まってきているのが、城の訪問記念の印である、「御城印」である。

寺社を巡る御朱印集めは、個性的な寺社の文化や、その歴史的背景に思いをはせることができ、なおかつ個々の寺社ごとに異なる御朱印を拝受することができ、とても楽しいものである。

同様に、お城においても、それぞれの城に個性があり、歴史的なロマンも存在する。このような点において、寺社と同様なマーケティングが、お城でも展開可能ではないかという発想が、今回の御城印につながったというように想定される。

大河ドラマで取り上げられると、その地域への経済効果は大きいが、ドラマが終わった後に、その経済効果をどれだけ維持・発展・拡大させられるかが、ドラマ放映後の地域における課題である。

今回の御城印は、今後は御朱印と同様に、地域ブランディングを強化させることが可能となるポテンシャルを秘めているのではないかと思われる。

明智光秀は、知勇兼備の武将であり、内政が非常に巧みで、地域振興に努めた名領主だったといわれている。そのご加護が、今回の施策で御城印を通して地域に還元されることとなれば、現代においても、まさに名将であるという証明にもなり、地域ブランディングにも貢献することになるであろう。

 

武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。
https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/

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