セミナー・実践会・相談会でブランド課題を解決する

Case Study

ポッカサッポロの新コンセプト 経営戦略とマーケティング戦略に基づく、経営統合と共同開発

投稿日:2019年8月26日 更新日:

ポッカサッポロ、北海道産の7つの素材を使用したブレンド茶 「北海道やさしい旨茶」を発売

ポッカサッポロフード&ビバレッジは、北海道で収穫(焙煎等の加工は北海道外の国内で行っている)された7つの素材(とうもろこし、大麦、米、たまねぎ、黒大豆、にんじん、ブロッコリー)を使用したブレンド茶「北海道やさしい旨茶」を、6月10日から発売する。

同社は今年から、日本各地の希少な素材を使用した無糖茶シリーズにおいて、新たなコンセプト「TOCHIとCRAFT」を掲げ、商品を展開している。今回は新たなラインアップとして、北海道の大地で育った7つの素材(とうもろこし、大麦、米、たまねぎ、黒大豆、にんじん、ブロッコリー)を厳選し、やさしい味わいを楽しめるブレンド茶として仕上げた。ノンカフェイン仕様なので、子ども含め幅広い世代の人に楽しめるとのこと。北海道産素材使用をPRするため、北海道観光PRキャラクターの「キュンちゃん」のイラストを掲載している。

今後とも、北海道と包括連携協定を締結しているサッポログループの一員として、多くの消費者に北海道産素材の素晴らしさを届けていく考え。

マイライフニュース 2018/6/4

ポッカサッポロフード&ビバレッジ(以下ポッカサッポロ)は、社名の通り缶コーヒーメーカーとして有名なポッカと、ビールメーカーとして知名度の高いサッポロが、2013年に経営統合して、設立された企業です。

ポッカは、サッポロと経営統合する前から「カフェドクリエ」というカフェを展開していたこともあり、嗜好品飲料の技術力が高く、それらの製造・販売を得意としている企業です。また、サッポロは、社名の通り北海道に関する商品開発が得意で、ビールの販売を起点とした全国的な販売・流通網をもち、創業地である北海道地域では高いシェアを確保しています。

その2社の得意分野・保有技術を結合させて、新たな商品開発・コンセプトとして提唱しているのが、今回の「TOCHIとCRAFT」シリーズとなります。

TOCHIとCRAFT

https://www.pokkasapporo-fb.jp/tochitocraft/

ポッカサッポロ ホームページ

ナショナルブランドメーカーであるポッカサッポロは、全国への流通網を保有しており、なおかつ各地で販促活動を行うことが可能です。グループ売上高も5000億円を超える大企業であり、人材・予算も豊富に活用することができます。

そのような大企業メーカーが、今回は、知覧の紅茶や富良野のラベンダーティーなど、それぞれローカルブランドとしての強みをもつ地域の飲料を、開発して販売しています。

商品は素材を活かした無糖茶飲料であり、市場の伸びしろがあるのと同時に、希少な素材をどのように美味しく提供できるか、各社の技術力が試されるところでもあります。また、その商品の持つ良さを、どのようなチャネルで販売し、顧客に伝え、支持を獲得できるかのマーチャンダイジングも含めたマーケティング戦略も肝要となってきます。

社名の通り、ポッカサッポロは、もともとが別の企業同士でした。それぞれの企業で独自性や強みを持っており、経営統合後も商品や技術の住み分けが行われてきたことだと思われます。企業の統合というのは、実際、非常に難しい問題です。単純に合算すれば規模は大きくなりますが、それだけでは企業のシナジーが果たされていないと市場に評価され、なおかつ組織がバラバラに動いていると、人材や技術など、宝の持ち腐れになってしまう可能性があります。しかしながら、文化や社風が異なる組織間の溝は、簡単には埋まりません。そういった点で、企業の融合は、時間をかけて地道に着実に行っていかなくてなりません。

新たな組織の発足時において重要なのは、双方の力を活かした共同作業を行うことと、小さなかたちでもいいので何らかの成功を果たすことです。

これらを鑑みると、今回の「TOCHIとCRAFT」シリーズは、非常に手堅いと同時に一定の成功が見込める、いい戦略だと思われます。ポッカの保有していた、嗜好品飲料の優れた製造技術と、サッポロの保有していた北海道ブランドや原料調達力が、うまく融合され、双方の強みを活かした商品を、顧客にアピールできるからです。更に、ポッカサッポロとしての新たなカテゴリーブランドが確立され、販売チャネル側にも影響を与えることが可能になります。

経営戦略としての経営統合を進め、マーケティング戦略として商品開発を進め、企業としての総合力を底上げしていく。「TOCHIとCRAFT」シリーズは、ただの新商品ではなく、ポッカサッポロという企業の、新たな未来を作り上げていくコンセプトとしての役割も担っているのです。

 

武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。
https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/

 

関連記事

マッシュホールディングスのブランド・ドメイン戦略を考察  ―CG制作会社が、なぜアパレル業界で成功を収めているのか【後編】

  PRTIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001150.000018505.html   前編では、急成長中のアパレルメーカーで …

明治 ザ・チョコレートのWebサイト

「明治 ザ・チョコレート」の4P分析〜実は激安戦略?〜

(出典:http://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/the-chocolate/) 2016年9月に発売してから1年間で約3000万枚を販売し、一大ヒット商品となっ …

ふるさと納税による地域ブランディング ーフレーム「ブランド・アイデンティティ・プリズム 」からの考察【後編】

前編では、ふるさと納税No.1となった都城市のブランディング戦略と、それを牽引する存在である霧島地域について分析してみました。 後編では、都城市でブランディング戦略の成功可能性が高い、高千穂地域のブラ …

老夫婦

終活ビジネスで新たな市場を開拓!「イオンのお葬式」が独自のサービスでブランドを確立できた理由とは?

ここ数年、よく耳にするようになった「終活」。いわゆる「人生の終わりのための活動」のことを言い、生きているうちに自分の葬儀の準備などを行う高齢者が、年々増加しています。終活に早くから注目して、終活ビジネ …

懐古ゲーム機による消費意識の転換 「癒し」のマーケティング戦略 なぜ、今、ファミコンミニ・メガドライブミニを発売するのか

かつて、1980年代~1990年代に玩具市場を席捲したゲーム機が、ここにきて次々と復刻される動きが出てきています。 「メガドライブミニ」9月19日発売 6980円 https://www.itmedi …

サイト内検索