「ブランド・マネージャー」とは、特定のブランドにおけるマーケティング目標の設定から戦略、ブランディングの実施と検証まで、ブランドに関するすべての管理を行う人を指します。最初に取り入れたのは世界的大企業P&Gであると言われています。日本では、日清食品が1990年代に導入し、各ブランドごとに徹底したブランド管理を行っているようです。
このように、ブランド・マネージャーと聞くと、大手企業のものという印象がありますが、今や中小企業においてもブランド・マネージャーの必要性が高まっているのです。
今回は、ブランド・マネージャーとはどのようなものなのかを具体的にご説明します。
企業がブランド戦略を大事にする理由
市場競争が激化する現代において、価格競争に巻き込まれることなく、少しでも高く、少しでも多くの商品やサービスをお客様に買っていただくことは、企業経営を安定化させるうえで大変重要なことです。
ブランド戦略は、企業や商品・サービスに付加価値を付け、価値を高めるものです。ブランド戦略を成功させれば、たとえ商品が他社より高い値段だったとしても、価値ある商品として喜ばれ、消費者に購入してもらえます。しかしながら、逆にブランド戦略が成功しなければ、価格競争に巻き込まれ、利益を確保することが難しくなってしまうのです。
そのため、利益を確保し、長期的な企業経営を安定化させるためにもブランド戦略が重要視されているのです。
ブランド戦略とは?
ブランドは企業にとって資産であり、経営戦略から一貫して派生するものです。上図のように、ブランド戦略を考える場合、まずどの市場で勝負していくかといった経営戦略がベースとなります。その経営戦略を達成するためにマーケティング戦略を立て、その上に自社の商品やサービスをいかに差別化させ、付加価値をつけていくかというブランド戦略を行うのです。
ブランド戦略はマーケティング戦略と一体であり、特にブランドの価値を高めることに力点をおいてマーケティング戦略を計画、実行していくプロセスを指します。
そのため、ブランド戦略は単体で考えるものではなく、経営戦略から一貫して行うことが重要なのです。
ブランド・マネージャーはどんな存在?
ブランド・マネージャーの役割は、企業の資産としてブランドの価値を高くすることです。そのため、ブランドを構築することから管理することまで広い範囲の中で、経営的責任があります。
ブランド・マネージャーは、単なる役職名ではありません。もっと広い意味で説明すれば、ブランドの価値を高めるために経営者的な目線で経営戦略を実現したり、役割を担ったりする人を指しています。
ブランド・マネージャーとしての役割はマーケティングの中で重要なポイントであり、ブランド・マネジメントやブランド戦略を体系的に学ぶことが求められています。
ブランディングは組織の内と外に必要
ブランド戦略は、消費者や顧客(外)に対してブランドをアピールする活動です。同時に「どのようなブランドなのか」を一貫してアピールするために、社内や協力会社(内)へとブランドイメージを浸透させることも大切です。
最近では、
「組織の外に向けたブランディング活動=エクスターナルブランディング」
のみならず、
「組織の内に向けたブランディング活動=インターナルブランディング」
が注目されています。その中で、ブランド・マネージャーは内と外の両方での活躍が期待されます。
また、知識ばかりではなく様々な能力も必要です。
企業や商品・サービスのブランドイメージを正しく消費者・顧客に浸透させるために、ブランド・マネージャーは、マーケティングと一体となったブランド戦略を体系的に学ぶことが必要です。自分一人で学ぶのは難しいことですので、専門の研修機関を利用するのもいいでしょう。