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「信州・松本 棚田ものがたり」に見る、ネーミングの妙

投稿日:2019年12月20日 更新日:

ソバ栽培などを手がけるかまくらや(長野県松本市)や味噌製造の石井味噌(同市)などは10日、松本市郊外の棚田の再生を通じて地域ブランド商品の販売などを始める。第1弾として地元の素材を使った味噌を11日から販売する。20年以降、商品数を増やし、棚田を観光名所にしたい考え。

かまくらやは耕作放棄地だった松本市・四賀地区の棚田を借り、地元農家や支援企業・団体と連携して18年から稲作を進めてきた。10日、栽培したコメの商品化を目的とする「四賀の棚田風景を守る会」を立ち上げ、ブランド名を「信州・松本 棚田ものがたり」に決めた。

石井味噌は支援企業の1社で、18年に収穫したコメと地元産の大豆を原料に約2トンの味噌をつくった。石井味噌とかまくらやの店舗で販売する。価格は500グラム入り1080円、300グラム入りは640円。石井味噌は20年にも約3トンの味噌を製造する。

日本経済新聞 2019/12/10
長野・松本 棚田再生でブランド商品化 まず味噌発売

ことばを用いて消費者の心象にポジティブなイメージとして定着させる――。ブランディングにおけるネーミングの果たすべき役割だが、それ達成しているブランドはあまり多くない。それくらいネーミングはありふれたものが氾濫し、陳腐化しているのだ。

さて、この『信州・松本 棚田ものがたり』はどうだろう。 確かに「ものがたり」という字面には既視感がないわけでもない。しかし、見た・読んだ瞬間スッと頭にインプットされ、目を閉じれば「棚田が広がる里山の風景」をイメージできる瞬発力を持ったネーミングではないだろうか。また、同ブランドでは、「棚田の再生」という商品軸とは違うテーマを掲げており、話題性も高い。

東京オリンピックを目前に控え、古き良き日本の風景が次々と消失していく中で、日本人が共有する数少ない情景をテーマとしたブランド名は今後も増えていくのではないだろうか。

 

BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ

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