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Case Study 話題の事例

投票率の低さをマーケティング・ブランディングの観点で考える

投稿日:2022年8月1日 更新日:



なんだか勿体無い気がする・・・選挙ポスター

私たちが選挙期間中に一番目にする選挙時のプロモーションとは何でしょうか。最初に思い浮かぶのは選挙ポスターと選挙カーです。選挙ポスターは大きさ、掲示場所などは厳しい規制がありますが、内容については比較的自由とされています。たいていは笑顔の立候補者のアップ写真と名前、そして政党名とスローガンといった構成です。
選挙が始まると街に掲示板が設置され、候補者のポスターが届出順に貼り出されます。ずらりと同じ大きさで並んだポスター。通りががりに目にした時に誰か特定の候補者が印象に残る、残念ながら私にはそういった経験はありません。

候補者は自身のブランディング戦略のひとつとして、イメージの定着と演出のためにテーマカラーを決め、その色のネクタイやスーツを身につけたり、ポスターのメインカラーに使用します。2016年の東京都知事選では「緑色」の力を最大限に活かした戦略で、小池百合子氏が圧倒的な勝利を収めました。長く所属した党からの推薦を受けられず、さらに古い体質から抜け出せない都議会へと切り込んだ小池氏は、その自分の戦う姿をクリーンなイメージを持つ色、「緑」で表しました。支持者には緑色のものを身に付けて欲しいと呼びかけ、応援演説の場はもちろん、選挙期間中の小池氏の周囲は緑で埋め尽くされ、それがさらに人々の連帯感を生み出しました。
 小池氏のように色を効果的に活かす候補者ももちろんありながらも、おしなべて選挙ポスターには、情熱、明るさ、誠実さなどをイメージさせる赤や青、黄色と原色系が多く使われます。さらに候補者の名前は可読性を高めるために大きく、力強い書体が主流です。表現したい意図や方向性としては、けっして間違ってはいないポスターですが、どれも強い原色、大きな文字と、お互いを殺し合い、見た人の心の中に何も残せないものになっているように思います。
ここでふと思うのは、選挙ポスターが果たしてターゲット起点で考えられているのかということです。自分の名前や政党を覚えて投票用紙に書いて欲しい。それはあくまでも候補者側の都合に立ったものであり、有権者はその候補者の名前よりも先に、自身が感じている課題を解決してくれる方法(政策)を知り、共感したいのではないでしょうか。

候補者ありきで投票に至るには、ルイヴィトンやアップルぐらいの強固なブランド力を有している必要があるのではないかと私は思います。厳しい見方をすれば、過去に芸能人だったりアナウンサーだったりと有名人が政治家に転身するのは、もちろん政治を通じて世に貢献したいという本人の熱い思いはありながらも、その確立された本人のブランドに頼る部分が少なからずあるのではないかとも思ってしまいます。

その言葉、届いてます?


ターゲット起点から考えているかという点では、選挙カーでの運動も疑問です。候補者の名前を連呼しながら走るあり方には、ただ名前を頭に刷り込むだけの目的しか感じられません。これがスイッチングコストの低い最寄品であれば、それも正しいマーケティング活動と言えるでしょう。しかしながら選挙というものは、これからの自分達の未来の方向性を定めるような重要なことです。人は一生ものを購入するとき、ただ聞いたことがあるから、というだけで選ぶことはけしてありません。

ターゲットに候補者の名前を想起させ、選挙期間という短い時間の中で記憶に刷り込むという方法は、SNSやネットのない時代においては、確かに有効的な方法ではありました。世代において情報を得る方法が大きく差のない環境であったからです。若い世代の投票率が伸び悩む日本において、票を得るために高齢の有権者層に狙いを定めているのかもしれませんが、政治はあくまでもこれからの時代、未来を創っていくものであると考えると疑問が残ります。イヤフォンから流れる音楽や、信号待ちのわずかな時間にもスマートフォンを覗き込んでいる、若い有権者にどのようにアプローチすれば良いのか。SNSなどによって個人にリーチすることができるようになっていることを考え、短期間の選挙期間だけでなく常日頃から長期のスパンで少しづつイメージを積み上げ、まさにブランドを構築していくことが重要なのかもしれません。

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