新型コロナウイルス感染拡大にともなう外出自粛の流れを受けて、「巣ごもり消費」と呼ばれる在宅生活ならではの消費が鮮明になってきました。各カテゴリーの売れ筋商品を紹介・分析したいと思います。
全国小売店の販売データを集計する日経POS情報(2020年3月)によると、前年度同月比の増加率トップ10は、買いだめによると思われる1位の畜肉缶詰と9位の総菜缶詰を除くと、麺(3位=乾パスタ、4位=乾めん、5位=パスタソース、8位=即席袋めん)、パン/ホットケーキ(2位=みつ・シロップ、6位=プレミックス、10位=バター)、もち(7位)と、ごはん以外の主食系(炭水化物)となりました。
想像するに、日持ちすることと、特に多くの消費者が在宅するようになった昼食での需要があるものと思われます。また家にいる時間があるからこそ、普段は作らないパンやたこ焼きなどを作って楽しもうする人々が、SNS上でもよく見かけられます。ベーカリー製造機の売り上げも伸びているそうです。
またインテージによると4月も同様の傾向を示していますが、2位にお菓子作りなどに欠かせないバニラエッセンスなどエッセンス類が入っていることも面白いです。やはり休校で在宅している子どもも多いのでしょう。
書店では絵本や参考書が伸びている一方で、ガイドブックが落ち込んでいると報道されていますが、カミュ『ペスト』、高嶋哲夫『首都感染』、小松左京『復活の日』など、いわゆる「パンデミック文学」が伸びています。このうち『ペスト』は毎年5,000部程度の増刷だったものが、2月以降に15万部を増刷、累計100万部を突破しました。ボッカチオ『デカメロン』からスティーブン・キング『ザ・スタンド』まで古今東西パンデミック文学は存在します。書店でのPOP作りやコーナー作りによっては、これまで地味だったこれらの小説も、一気に売れ筋になりそうです。
家電ではテレワークの普及により、ウェブカメラやヘッドセット、WiFi機器はもちろん、PC、プリンター、マウスなどを新調する動きもあります。バランスボールやペダル機器といったトレーニング機器、ニンテンドースイッチなどのゲーム機器などが売れているのも想定内でしょうか。
今ほど、人々の消費者心理を分析し、想像する力が必要になったことはないといえるでしょう。なぜお米よりもホットケーキが売れるのか、なぜミシンが売れているのか(自作マスクを作る人が増えたからです)、なぜもやしや格安ビールが売れて、マダイやサクラエビは売れないのか(もちろん節約志向と飲食店の休業によるものと思われます)、こういったことを常に分析し、想像する必要が、売り手には必要です。これは今後のアフター・コロナ時代、ウィズ・コロナ時代にもいえることです。
BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ