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Branding Method Case Study

chocoZAPの急拡大を実現した認知とニーズ想起のメカニズム

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「来店して5秒で開始、5分で終える」がコンセプトのコンビニジム

chocoZAPは、RIZAPグループ株式会社が展開する、24時間365日全店舗使いたい放題で、月額2,980円(税抜)が売りのフィットネスクラブです。誰もが運動を継続しやすく、効果を実感できる、「簡単」「便利」で「楽しい」“コンビニジム”という概念を作り出したことでも有名ですね。

chocoZAPの特長
・スマホひとつで通えるコンビニジム
 入会、退会はもちろん、アプリを使うことで日々の健康管理までできる
・コンセプトは 「来店して5秒で開始、5分で終える」
・全店舗、24時間365日使い放題
・月額2,980円(税抜)という低価格
・着替え不要、靴の履き替えも不要
・全店舗無人でストレスフリー
・マシンを使ったことがない人も、アプリ内の動画で使い方を確認できる
・脱毛、ゴルフ、ネイル、ホワイトニング、ワークスペースなど、ジムエリア以外も充実している

chocoZAPは、既存の組織資源を活かしながら、顧客をズラして、新市場を創ってきました。RIZAPグループ取締役の鎌谷氏は以下のように語っています。
「普段筋トレをしている層からパイを奪うのであれば、確かにレッドオーシャン。ただ、ターゲットは運動をほとんどしない初心者。全国に膨大な人数がいるわけで、間違いなくブルーオーシャンが広がっていると判断した。」


https://chocozap.jp/

2021年10月にスタートしたchocoZAPは、全国各地に新店舗が続々とできています。2023年11月末には1,157店舗となり、これまでダントツで店舗数があった「ANYTIME FITNEES(エニタイムフィットネス)」をたった2年で抜いてしまったのです。

chocoZAPのマーケティング戦略をブランド再認・再生に当てはめる。

では、なぜここまで急成長できたのか。ブランドの「再認」と「再生」の観点から見ていきたいと思います。


<ブランド再認とは?>
ブランド要素(名前・色・ロゴ・音楽・キャッチコピーなど)に接した際に、特定のブランドを思い出すことのことを言います。例えば、馬のロゴマークを見たら「フェラーリ」と思いつくようなもの。ブランド再認してもらうためには、まずはブランドを知ってもらうことが重要となります。

<ブランド再生とは?>
消費者のニーズ(お腹が空いた。可愛い服がほしい。などの欲求が出てきたときなど)が発生した際に、特定のブランドを思い起こすことです。例えば、ハンバーガーが食べたい!と思ったときにマクドナルドが思い浮かぶこと。消費者に商品・サービスの良さを理解してもらうことがブランド再生につながります。

ブランド再認とブランド再生は、どちらも企業と消費者に大きな影響を及ぼすので、どちらも重要です。しかし、「ブランド再認」の後に「ブランド再生」の状態になるため、どちらかといえば「ブランド再生」の方が重要になります。
ブランド再認はブランドに対する知識があるだけの状態で、購買行動にはつながりません。それには、消費者や顧客のニーズがそのブランドがもっている価値と結びついている状態(=ブランド再生)が必要になります。

では、まずブランド再認のためにchocoZAPが行ったことは、徹底的にクリエイティブの検証です。
2023年8月に発表された決算資料によると、
・チラシの検証(500種類以上)
・バナー広告による検証(4000種類以上)
・LP(ランディングページ)による検証(200種類以上)
を実施していたそうです。


決算書(2023年8月)

そして、具体的に絞り込んだターゲットに対して、どんなクリエイティブを出すと興味を持ってもらえるのかという検証を繰り返し行っていました。だからこそ、ターゲットにどこが他社と違って、どんなことができるかなど、自社の違いをしっかりと説明していきました。結果的に「chocoZAP=RIZAPの作った安価なジム」という印象は強くついたのだと思います。

ブランド再認率が高いと、顧客はブランドに対して信頼感を覚えます。ブランドを信頼していない人は、そのブランドの製品やサービスを購入しないでしょう。だからこそ、ブランド再認を高めていくことで、顧客は安心してブランドを利用できるようになります。

ここから実際に購入につなげていくためには、ブランド再生を高めていく必要があります。ブランドへの深い理解を促していくために、より興味の持っているターゲットに向けてクリエイティブ検証で効果の高かったLPなどで情報をしっかりと届ける。結果的に、サービスへの理解も深まり「運動したい」「ジムに入りたい」と思ったときに他社との比較対象となり、加えてchocoZAP独自の価値(低価格、気軽に始められる、近くにあるなど)で選んでもらえる確率が高まっていったのだと思います。

ブランド再認とブランド再生を意識したブランディングのために

先ほどもブランド再認とブランド再生の両方とも大切とお話ししました。特に順番が重要です。

例えば、
商品のリリース直後、まだ誰も、その商品の存在を知らない場合、「ブランド再認」が必要。
まずは知ってもらう機会を作ること。⇒「量」を増やす。

たくさんの人に知ってもらった商品を、思い出してもらい、購入してほしい場合、「ブランド再生」が必要。
ニーズ発生後、一番に思い出してもらうこと。⇒「率」を高める。

知られただけで、商品が売れると思っているのは大間違い。たくさん知ってもらって、たくさん思い出してもらうことが必要になるのです。

ただし、自社の認知度を向上させようと考える前に知っておくべきことがあります。それは、大企業は既に「ブランド再生」を成功させているということ。
ブランド認知度の向上施策を実施する際は、大きなカテゴリー(市場)で戦うのではなく、細分化したカテゴリー(市場)つまり「小さな市場」でブランド認知度が向上することを意識した方が良いということになります。つまり、自社が特化できるカテゴリー(市場)の中で認知度を高めていくことが大切になるのです。

具体的な進め方のイメージとして、市場やターゲットを見極めたあと、WEBを活用した広告やプロモーション、キャンペーン、SNS、メルマガなどでブランド再認を高め、ブランドサイトやオウンドメディア(記事サイト)などで、サービスへの理解を深めてブランド再認を高めていく。
結果的に、自社と他社との差別化に成功し、購入してもらうとともに、固定客の囲い込みが可能になっていくのです。

まとめ

■「ブランド再認」とは、ブランド要素(名前・色・ロゴ・音楽・キャッチコピーなど)に接した際に、特定のブランドを思い出すことのこと。
■「ブランド再生」とは、消費者のニーズ(お腹が空いた。可愛い服がほしい。などの欲求が出てきたときなど)が発生した際に、特定のブランドを思い起こすこと。
■「ブランド再認」の後に「ブランド再生」の状態になるため、どちらかといえば「ブランド再生」の方が重要。
■chocoZAPは、月換算で「チラシ40種類」「バナーが130種類」「LPが16種類」という量を発信しブランド再認を高めるとともに適切なターゲティングを行なってきた。
■クリエイティブ検証を行なった後は、ブランド再生に向けて、より細かなターゲティングで細かい情報を訴求し理解を深めていった。
■ブランド再認を高めるためには「量」を増やす。ブランド再生を高めるためには「率」を高める必要がある。
■大手はすでにブランド再認は完了している状態なので、新規参入の場合、市場かターゲットをしっかりと見極める必要がある。




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【経営×ブランディングの責任者(CBO)を日本で増やす】経営に貢献する真のブランディングを広めるために、ブランドづくりの基礎知識・ポイントからさまざまな事例、そして実践的に学べるセミナー、相談会まで。幅広いメニューで社会にCBOを増やしていきます。
※一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会公認
最新情報を発信しています。






■古澤 敦貴(ふるさわあつき)執筆
クリエイティブディレクター・コピーライター
言葉をベースとしたブランディング、コミュニケーションデザインに従事。
制作会社にてコピーライターのキャリアをスタート。広告を中心にさまざまなクライアントワークに携わる。キャリアを重ね、紙、Web、動画など様々な媒体のディレクション、制作を行う。

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