セミナー・実践会・相談会でブランド課題を解決する

話題の事例

家系ラーメンに見る、ブランド管理の難しさ

投稿日:2019年3月20日 更新日:

横浜家系ラーメン。1974年創業の「吉村家」(当時は新杉田駅近く)を源流とし、その弟子や孫弟子を中心に神奈川県を中心に広がっていった豚骨醤油ラーメンだ。
屋号に「○○家」という店名が多かったことからファンの間で「家系(いえけい)」と呼ばれる。クセになる味とともに、麺の硬さ、油の量、味の濃さをお客の好みで調整できるのも人気だ。
近年、首都圏を中心に家系ラーメン店の増加が著しい。繁華街を歩いていて「○○家」と付いたラーメン店をよく見かける人は少なくないはずだ。
(中略)
かつては「家系」であることがブランドだった時期もある。今や資本系の屋号が目立つうえ、家系で修業しながらも独立の際には「家系」「〇〇家」を店名に冠した店を出さない若い店主が出てきた。「家系」のブランドがあまりに一般化し、希少性が落ちてしまっていることを示唆するようだ。

(東洋経済ONLINE 2019/03/11
「家系ラーメン」出身者が家系を名乗らない理由
ブームならぬ増殖でブランドが一般化した)

ここ5年ほどで、吉村家とは無関係な数社の大手、いわゆる「資本系」のラーメン店が「家系」を名乗ることが増えてきたという。

希少価値を保つため店舗数や販売量などの「数」を抑えれば、売上は増やせない。一方「数」を増やせば希少価値は下がる。両者はトレードオフの関係にある。好例はシャネルやルイ・ヴィトンで、その商品が女子高生にまで普及したことで圧倒的に高い憧れの対象としての地位はすでに失っている。ゴディバは近年コンビニにまで販路を拡大したことで、立ち位置が怪しくなってきた。

シャネルやゴディバと家系ラーメンの特徴的な違いは、(もちろん価格帯も挙げられるが)ブランドを管理する主体にある。正確にいえば、家系には管理する主体が存在しない。○○家はもともと吉村家の弟子や孫弟子が名乗っていたものだが、それぞれの店舗自体は互いに独立した組織である。要すれば、家系ブランドを統合管理する組織は(おそらくは)存在しないのだ。

シャネル等は「数」を増やしながらも、ハイブランドとしてのイメージを維持できるよう企業側が管理してきたと考えられる。一度ブランドを立ち上げても注意深く管理しなければ、ブランドの輪郭はすぐにぼやけてしまう。

 

BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ

関連記事

ロングセラーの地位は、思い起こしのアピール?

ロングセラーを続ける“10円駄菓子”の「うまい棒」が今年発売40周年を迎えた。「チーズ」や「カレー」といった定番に加え、いまでも毎年1~2種類の新しい味を生み出しているのは、うまい棒ほかスナック菓子の …

全県民に「翔んで埼玉」鑑賞を 大ヒット映画、映画館のない秩父で特別上映会 23日、東映の協力で開催

秩父市は8日、同市熊木町の秩父宮記念市民会館大ホールフォレスタで23日午後2時から、全国で異例の大ヒットを記録している映画「翔(と)んで埼玉」の特別上映会(東映主催)を開催すると発表した。現在公開中の …

Netflix「ROMA ローマ」は“映画”か?英興行会社シネワールドが徹底抗戦

カンヌ国際映画祭コンペティション部門への出品が決まっていたにもかかわらず取り下げられ、ベネチア国際映画祭でNetflixオリジナル映画としては初となる金獅子賞を受賞するなど、今年の賞レースを牽引する一 …

高い?安い? ネーミングライツの値段

京都市は、西京極総合運動公園陸上競技場(右京区)に命名権(ネーミングライツ)を導入する。年間4千万円以上の収入を見込み、公園の管理運営費に充てる。 陸上競技場は1周400メートルのコースと天然芝の球技 …

お祭り屋台の定番商品が、お洒落に変身

イタリアンシェフが作るりんご飴専門店「キャンディ アップル(Candy apple)」の2号店が、2019年7月17日(水)より東京・自由が丘にオープン。 「キャンディ アップル」で提供するのは、イタ …

サイト内検索