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「マツダ地獄」は克服されたのか マツダの描くブランド化戦略

投稿日:2019年10月28日 更新日:

マツダは、新型スポーツ用多目的車(SUV)「CX-30」を10月24日に発売する。5月に投入した「マツダ3」に続く新世代商品の第2弾。同社のSUVでは小型の「CX-3」と中型の「CX-5」との中間的な位置付けで、世界的に人気が高まるSUVのラインアップを拡充。また、かつては「マツダ地獄」との言葉もあった苦難の時代を超え、近年は輸入車からの乗り換え需要が増加するほど向上させてきたブランド化を、さらに加速する狙いもある。

丸本明社長は東京都内で20日に開いた発表会で「市場がグローバルにSUVにシフトしている中、ブランドを牽引(けんいん)し、今後のマツダを支える柱の一つになる商品だ」とアピールした。

2019年9月23日 Sankei Biz
マツダ、ブランド化さらに加速 「CX-30」来月発売、客層拡大に意欲

マツダのブランディング戦略は、経営危機後に大幅に進化してきた。マニアの間では熱烈な支持があるものの、全体的な売上は芳しくなく、常に綱渡り状態の経営を強いられてきた。

かつてマツダが経営危機に陥ったのは、技術偏重による開発費用の負担を賄うために、商品構成を大幅に見直し、マルチチャネルを行うため、車種のラインナップを過剰に増加させたことによる、プロダクトブランドへの投資の失敗がきっかけだと言われている。

つまり、幅広く顧客支持を得るため、総花的に大量に商品ラインナップを増やしたために、顧客へ伝えるコーポレートブランドの主張が薄まってしまい、なおかつ個々の車種への販促費用が嵩んだことで、プロダクトブランドへの投資規模も中途半端になってしまった。

その結果、顧客支持を失ってしまい、売れ残った車種が中古車として市場に流れ、ブランド価値を減耗させていくという、悪循環のサイクルにハマってしまっていた。

しかしながら、その後は外資系企業であるフォードの傘下による経営再建を経験したことで、フォード傘下から外れた現在では、元来から保有する高い技術力をどのようにグローバル市場でアピールしていくかという、マーケティングセンスとデザインを、企業として獲得したようである。

現在のマツダは、顧客を絞り、走る歓びを満たすことに注力した車づくりを進めた結果、スポーツタイプのSUVなどでヒット商品を生み出せるような企業体質に変貌を遂げた。

洗練されたセンスにより欧州で評価されることが多いマツダは、確実に企業としての実力を高めている。技術力を生かしたマーケティングセンスを磨きたい企業にとって、マツダの成功は参考となる事例ではないだろうか。

 

武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。
https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/

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