いいちこは、こうじにも大麦を使う「100%麦焼酎」として1979年2月に発売した。名称は県民に公募。寄せられた約1200件から、「下町のナポレオン」の愛称とともに選ばれた。
同社は「全員でゴールを目指すラグビーの精神を大切にしている」といい、今回のボトルは台座の上にラグビーボールが3個連なる陶器製にした。一番上のボールを取り外すとコルクの注ぎ口が現れる。
(読売新聞 2019年2月6日)
「いいちこ」と聞いて真っ先に思い浮かぶのはあの独特な広告だ。
グラフィックデザインでは商品を目立たせない。テレビCMにおいても、ナレーションで商品名を声高に叫ぶことはない。
この“広告らしからぬ”大胆なクリエイティブは1980年代から「いいちこ」の広告制作を担当してきたアートディレクター・河北秀也氏によるものだが、それにOKを出した三和酒類も相当な慧眼の持ち主だといえるだろう。
費用対効果が求められる現代ではまず成立しえない企画であり、その点において「いいちこ」の広告はまだ多様性が受け入れられていたマス広告黄金時代が生んだ奇跡といえる。なにかと瞬間的な行動を煽る広告が跋扈する今日において、「いいちこ」広告が持つイノセンスで非広告的佇まいはより一層際立っている。
BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ