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日産「ノート」販売好調を支える「e-POWER技術」の意義

投稿日:2019年2月15日 更新日:

日本自動車販売協会連合会が発表した2018年の登録車の新車販売車名別(軽自動車除く)で、日産自動車の「ノート」が13万6324台で1位となった。日産がこの分野において暦年ベースで1位となるのは初の快挙。上半期でも48年ぶりに1位だったことから年間を通じて好調だった。

販売を牽引している大きな理由が、「e-POWER」技術だ。モーターとガソリンエンジン併用の「ハイブリッド技術」ながら、これまでのハイブリッドの概念を崩すもので、エンジンは発電機のみとして使い、駆動はモーターのみによることから、走行感覚は完全にEVであることが消費者に評価されているようだ。

軽自動車も含めた国内販売シェアでは5位と苦戦が続く日産においては、一つの光明と言えるだろう。

(YAHOO! JAPAN ニュース 2019/2/10)

日産「ノート」の売れ行きが好調だ。同社は前会長の逮捕・起訴で俄然世情を賑わせたが、やはり高い技術力を持つすばらしい企業なのだと改めて感じさせる。

この記事で注目したいのは、「ノート」にも搭載されているという「e-POWER」という技術だ。これはいわゆる「技術ブランド」である。商品をブランド化するだけではなく、商品を構成する技術、要素、素材などもブランド化の対象とすることがある。すなわち、技術や要素にも、消費者・顧客の頭の中に、好ましいイメージを形成することを目指す。

技術をブランド化する効果としては、たとえば次のようなものがある。新商品発売の際に、すでに認知されている技術ブランドを訴求することで、プロモーションコストの低減が見込める。

上のe-POWERを例に取ってみよう。将来、日産が新しいハイブリッドカーや電気自動車(EV)を発売し、それにはe-POWERが搭載されているとする。新商品は、開発直後は認知度ゼロだ。しかしe-POWERはすでに認知されている。e-POWERを搭載した自動車がどんな乗り心地なのかなど、試乗すらしなくても分かる消費者が一定数存在するわけである。これは大きなアドバンテージだ。

実際には、日産のような有名企業なら、技術ブランドだけでなく企業ブランドの影響も大きいだろう。しかし逆に言えば、知名度が低い企業においては企業ブランドによる後押しがあまり期待できないため、このような場合技術ブランドの影響が大きくなるだろう。

 

能藤 久幸(のとう ひさゆき)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 ディレクター・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ

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