虫さされ薬として知られる「キンカン」。そんな商品のポスターがネット上で注目を集めています。一見するとハイブランドの広告風ですが、よく見るとモデルの手元にはキンカンが握られています。「若い世代にもキンカンの存在を知ってもらいたくて」と話す担当者に聞きました。
(中略)
今すぐに「キンカン=虫さされに効く」と結びつかなくても、まずは知ってもらいたい。存在を知ってもらうことで選択肢の一つに入ることができるのではないか、と考えたそうです。
(中略)
「やるからには徹底的に」というアートディレクターの考えのもと、50~60人のプロモデルの中からオーディションで3人を選出。撮影も普段からハイブランドの撮影に携わっているカメラマンに頼んだそうです。
ライブドアニュース 2019/7/23
オシャレすぎる虫さされ薬ポスター!
「キンカン」のハイブランド風が話題に「若い世代も存在を知って」
1926年に万能外用薬として発売されたキンカンが、渋谷センター街という立地でのポスター広告を展開した。目立つ!違和感!注目!と三拍子が揃いそうなインパクトを盛り込み、若者の興味や関心を引き寄せたリブランディングが興味深い。
長い歴史を持つブランドでも、時代に合わせて変わっていかなければ「存在感」は希薄になる。今回の施策は、ユーザーの高齢化が進むなか、若い世代に向けた認知拡大のため知恵を絞った形だ。「やるからには徹底的に」の考えのもと、一見ハイブランドと誤解されそうなトーン&マナー(雰囲気)になっているが、闇雲に奇をてらったわけではない。今回のコミュニケーションのターゲットである、若い世代の注意をひくための戦略だ。渋谷センター街という場所の選択も、若い世代に合わせたものだ。それでも「キンカン」ブランドそのものが微動だにしないのは、やはり今までの100年の蓄積のおかげか。
医薬品の効能効果をうたっただけでは売れない。「興味を持ってもらう」「存在を知ってもらう」ことが、情報過多の時代には新規ファンの獲得につながるのだろう。今後のブランディングもどのような取り組みがされるかが気になるところだ。
はやま 紺(はやま こん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 1級資格取得者
紺デザイン ブランド・クリエイター
シンプルな思考で発想を転換、価値を伝えられないとあきらめていた起業家に価値の発掘、言語化、ビジュアル化を展開し課題解決をサポートしています。「世界観を形につながりたい人とつながるブランディング」を支援中。
http://kon-design.com/