CBOメディア

アジシオ

  • ブランド名

ただの塩ではありません。塩に「グルタミン酸ナトリウム」を含ませており、「うま味」という味が付いた塩、それが「アジシオ」です。筆者は子どものころからアジシオが大好きで、白ご飯に振りかけて食べていたところ、母親に「塩分のとりすぎ!」と怒られていました。今回は、そんな世にも珍しい「味の付いた塩」であるアジシオに注目します。
≪注意書き≫本記事は各ライターによる情報収集によって作成されているため、主観や意見、事実と異なる文言が含まれている可能性をあることをご了承ください。
背景
「塩にグルタミン酸をコーティングすると、湿気による固まりを防止でき、従来の塩よりもうま味が増す」味の素社がこの製法を開発したのは、1954年。工業化の予定はなかったものの、戦後に塩の需要が拡大していることに着目し、1960年に販売を開始しました。
戦略意図
伝統的な塩の産地である備前・岡山の瀬戸内海から採れる塩のみを使っており、製造も岡山の工場で行っています。従来の塩とは違ってうま味を持っているほか、「湿気に強い」という点で、ゆで卵やフライドポテトなど水分・油分が高い料理とも相性がいいことも強みです。その他、イノシン酸ナトリウムを0.3%配合した「デラックスアジシオ」、黒コショウ入りの「アジシオペッパー」、ガーリック入りの「アジシオガーリック」というシリーズも展開しましたが、すべて終売しています。
表現意図
「味の素株式会社」が開発しており、社名と同じ名前の主力商品にも使われているグルタミン酸ナトリウムを含有した「塩」、これら二つを繋げて「アジシオ」というネーミングです。わかりやすさを演出しつつ、「味が付いている塩」というほかの塩とは決定的に異なるメリットを表しています。なお、現在のアジシオのパッケージは海をイメージするブルーが使われていますが、実はこのブルーは上記の「デラックスアジシオ」販売時のパッケージに使用されていたもので、最初期のアジシオは朱色のパッケージで販売されていました。
まとめ
塩を甘くすることはできないが、旨くすることはできる。味の素の驚きの着眼点で生まれたアジシオは、今日も家庭や飲食店で活躍しています。これだけのロングセラー商品でありながらも、従来の塩との食べ比べキャンペーンを展開するなど、最大のライバルである「普通の塩」との差別化を図るために、ブランドイメージの定着化に余念がありません。当たり前に存在する物に+αを加えることで、最強の独自性が生まれたブランドの好事例が「アジシオ」ではないでしょうか。
 
一覧へ戻る