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乃が美

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高級食パンブームの火付け役となった「乃が美」。スーパーなどで一斤100円で売られていた食パンが、一本800円(販売当時)と驚きの高価格。身内の反対を押し切り販売した結果中、空前の大ヒット商品に。現在では47都道府県に店舗を設置するまでに成長しました。なぜ、「乃が美」の食パンは美味しく、高く、売れたのでしょうか。
≪注意書き≫本記事は各ライターによる情報収集によって作成されているため、主観や意見、事実と異なる文言が含まれている可能性をあることをご了承ください。
背景
幼少期、食べることに苦労していた創業者は「誰でもおなか一杯食べてもらえる場所を作ろう」と飲食店を立ち上げました。多数の業態を手掛けましたが、どれも鳴かず飛ばす。そこで創業者は、「どうせなら日本一のものを作ろう!」と思い立ち、日本一になれる食材の選定を始めました。ボランティアで慰問していた老人ホームの利用者の悩み、卵アレルギーを持つ我が子からヒントをもらい、「柔らかい」「卵不使用」の「誰でも美味しく食べられる」パンの開発を決意しました。
戦略意図
試行錯誤を繰り返し、丁寧な製法で焼き上げ、ついに完成した乃が美の食パン。しかしあまりに手間をかけた製造のためコストが膨れ上がり、販売価格は通常の倍以上になってしまいます。開店当初には、周囲の人間すらも「誰が買うのか」と当然の疑問を投げかけられます。しかし開発者は諦めず、売れ残ったパンを車に積み、ひとつひとつ手売りしました。試食した人々からの好感触、アレルギーを持つ子供の親や固いパンが食べられない高齢者から徐々に人気を獲得。売り上げを伸ばし、店舗を拡大していきました。
表現意図
そうは言っても一本800円。主食としての地位もある食パンにしてはやはり高めの値段です。乃が美ではこの金額を逆手に取り、高級路線を打ち出していきました。通常の食パンと区別するため乃が美のパンを「生食パン」と定義。さらに店舗も、白を基調とした清潔感と高級感に溢れたあしらい。お渡しの袋は特製の紙袋を作成し、特別感を演出しました。かつてコンビニスイーツが大ヒットしたように、日常に特別感を求める主婦層やOL層に大ヒット。通常の食用だけでなく、贈答用としても好まれるように。これまでの食パンでは考えらえなかった、新たなポジションを確立しました。
まとめ
その後は皆さんもご存じの通り、高級食パンブームが到来。乃が美の後を追うように、大量の高級食パンが誕生しました。2023年現在では、ほとんどその姿を消しましたが、乃が美は変わらず店舗数を保持しています。その理由は、高級食パンの元祖という確固たるブランドイメージが強いからに他ならないでしょう。娘や高齢者のために、本当に美味しい食パンを作ろうとした創業者の想いと味には、今でも多くのファンが付いているのです。
 
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