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GAP

  • ロゴ

SPAの元祖であるアメリカ最大の衣料品小売店チェーン、GAP。
誰しもがそのロゴといえば紺色で正方形、そしてセリフ体の書体を思い浮かべることができるのではないでしょうか。 人々の心の中にGAPの明確なイメージを生む、素晴らしいロゴです。 2010年、GAPはこの正方形から新しいロゴを発表したところ、ネットで大炎上しました。その結果GAPは新しいロゴをほんの数日で取り消さねばならなくなってしまったのです。
いったいブランドのロゴは誰のためにあるのでしょうか。
≪注意書き≫本記事は各ライターによる情報収集によって作成されているため、主観や意見、事実と異なる文言が含まれている可能性をあることをご了承ください。
背景
2010年当時のGAPは中国の上海と北京にストアをオープンし、オンラインストア、Gap.cnも開設と、より世界へそしてネットへと販売のチャネルを広げ、まさに進化を遂げようとしていたところでした。
戦略意図
紺色の四角形のロゴが生まれて26年後、GAPは「進化し続けるブランド」を打ち出すリブランディングのひとつとして、ロゴのリニューアルを行いました。
表現意図
新しいロゴは、ゴシックフォントの王道、ヘルベチカを使用。マイクロソフト、3M、トヨタなどが使用しています。
黒のGAPの文字の右上には、四角いブルーのグラデーションが小さく配置されました。これまでのややクラシカルな印象のロゴから、カジュアル感を増し、ユニセックスなイメージを持たせたそのロゴは新しいGAPの時代の目印となるはずでした。
まとめ
しかし新ロゴは、わずか2日で姿を消すことが決定してしまいます。ネット上で思わぬ批判の嵐を浴びたGAPは慌て、ロゴのデザインを公募すると発表したところ、さらに炎上してしまう結果を招きました。
このロゴ騒ぎによってGAPにはSNSの意見に振り回される企業というイメージをつけられ、100億円以上の損失が発生したと言われています。
ブランドには消費者の情報処理を簡略化する、という社会的な機能があります。
消費者が「ギャップとはこういうもの」と認識している、何らかのテイストやニュアンス、イメージを、新ロゴには継承できなかったのです。さらにGAPが掲げた「進化し続けるブランド」としての戦略意図もファンたちに伝えられなかったと言えるのではないでしょうか。
ビジュアルアイデンティティであるロゴを、見た目の善し悪しだけで決めてはならない、ということを、改めてこのGAPの例から学ぶことができます。
 
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