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株式会社トンボ鉛筆

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誰しもが1度は手にした事があるのではないでしょうか、トンボのマークがついた鉛筆を。
2013年2月、創立100周年を迎えた老舗文具メーカーが行ったブランディング戦略は、18年ぶりのロゴマークリニューアルとこれからの100年間を見据えた「トンボ鉛筆」らしいコピーの発信でした。  
≪注意書き≫本記事は各ライターによる情報収集によって作成されているため、主観や意見、事実と異なる文言が含まれている可能性をあることをご了承ください。
背景
文房具類の卸業として立ち上がったトンボ鉛筆の創立から100年間の歴史は、様々な困難や変化を乗り越えたものでした。
1945年の終戦時には空襲で工場を消失、1967年のボールペンの品質不良問題による経営難、そこから国産初のスティックのりのヒットによる復活を遂げます。さらには乾かす手間のいらない修正テープというトップシェア商品を生み出しました。
トンボ鉛筆の100年目は、顧客のニーズに敏感に応えながらも、絶えず先進的な商品を開発し続ける姿勢を次世代へと引き継ぎ、かつ内外へあらためて発信する節目でした。
戦略意図
「私はかねがね、『これ、便利!すてき!』という驚きや感動をお届けするメーカーになりたいと思っているのです」2003年、小川晃弘社長の就任時の言葉です。
小川社長はサプライズのあるメーカーとあるためには開発力と企業イメージの統一が重要と位置付け、その上で創立100周年に向けてトンボ鉛筆のグローバル化を事業目標に掲げました。
これに基づいて「分かりやすさ」と「統一感」を重視してリニューアルされたロゴには「トンボ」が19年ぶりに復活し、100周年のコピーとして「これからも人間のそばを離れない」と「トンボ」の目線が感じられる言葉を採用しました。 社名に基づくオリジナリティとユニークさを両立させたロゴとコピーに「トンボらしさ」を強く打ち出したのです。
表現意図
社名となっている「トンボ」を採用した経緯は、トンボは前にしか進まず退かないところから、日本では「勝ち虫」と言われ、非常に縁起の良い虫とされていたことに由来しています。
新しいロゴのトンボは上を向き、羽は∞(無限大)の記号をモチーフで、そこには「無限の領域へ、無限の成長を遂げる」という同社の思いが込められています。さらにトンボの羽には「とめ・はね・はらい」の伝統美を残し、デジタルでつくられたものにはない、ふくよかな手描きのニュアンスにこだわったものとなっています。人の手が使う文房具メーカーであることを表しているのです。
まとめ
日本企業は世界の中でも長寿企業が多い国です。実際に世界の創業100年以上の企業のうち、半数近くが日本の企業となっています。様々な環境や法体制の違いはあれど、100年もの長い間、企業体として在り続けられることは決して容易いことではありません。
創立100周年から次の時代へ歩みを続ける現在のトンボ鉛筆のコピーは「トンボはいつもそばにいる」です。単なる文具の生産だけにとどまらず、文具(プロダクト)を通じて人々の生活をデザインするメーカーとして「トンボらしさ」を追求し続ける姿勢をどのように表現していくのか、これからも老舗メーカーのブランド戦略から目が離せません。
   
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