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「ジョブ理論」でわかるニーズの重要性

投稿日:2018年1月10日 更新日:

ジョブ理論タイトルイラスト

「ジョブ理論」とは、顧客の抱えている「ジョブ」を片づける解決策を提供することがイノベーションにつながるとした最新の理論です。ニーズ志向とも言えるジョブ理論の概要を解説します。

「ジョブ理論」とは

「ジョブ理論」をご存じでしょうか。『イノベーションのジレンマ』で知られるハーバード・ビジネス・スクール教授のクレイトン・M・クリステンセンが提唱している理論で、日本でも同名の著書(原題はCOMPETING AGAINST LUCK)が出されています。
「ジョブ理論」と聞いても、混乱される方も多いと思います。この理論は仕事を上手にこなすための仕事術の話ではありません。マーケティングの理論です。一言で説明すると、顧客の抱える「ジョブ」を片づける解決策を提供することがイノベーションにつながるという理論です。

ミルクシェイクが片づける「ジョブ」

クリステンセンは「ジョブ」を説明する際に、ミルクシェイクを例に挙げています。ミルクシェイクは、朝、通勤自動車の運転席で、手を汚さずに、時間をかけて、腹を満たしたいという消費者の「ジョブ」を片づける手段として求められるのであり、同時に、夕方、父親が子供に買い与えることでコミュニケーションをしたいという「ジョブ」を片づけるためのものであると説明しています。

ミルクシェイクを飲む子供たち

ミルクシェイクを飲む子供たち

ここで、思いあたることがありませんか?「ジョブ」とは「ニーズ」にそっくりです。その点はクリステンセンもちゃんと意識していて、ジョブはニーズよりはるかに細かい明細化を伴う点で大きく異なる、と書いています。確かにミルクシェイクの例でも、同じ飲み物でも朝の通勤客と夕方の父親とは「ジョブ」が異なります。とはいえ、「ジョブは作り出すのではなく、見つけ出すものだ」と話しているように、顧客の欲求の中にイノベーションがあるという点では、ニーズ志向であるといっていいでしょう。「片づけられるべきジョブ」という言葉が引っかかるならば、「満たされるべきニーズ」と置き換えてみてもよさそうです。

ジョブを見つけ出す5つのヒント

決定的な違いを挙げるとすれば、競合のとらえ方です。コカ・コーラのライバルはペプシ、プレイステーションのライバルはXbox、マーガリンのライバルはバターと一概に言えません。マーガリンを「パンを飲み込みやすくするために湿したい」という「ジョブ」を片づけるものと考えれば、クリームチーズもオリーブオイルもマヨネーズも競合です。同書では、動画配信サービスのネットフリックスは、リラックスするというジョブの手段と考えれば、ビデオゲームも、ワインを飲むことも、ボードゲームで遊ぶことも、なんでもライバルであるというCEOのコメントを紹介しています。

クリステンセンはジョブを見つけ出すヒントを次のように挙げています。

  1. 生活に身近なジョブを探す
    すでに獲得した顧客、まだ獲得していない顧客を観察するだけで、イノベーションをもたらすジョブを見つけ出すきっかけになる。ペットの世話などケアを必要とする側と雇用機会を求めている側とを結ぶサイト「ケア・ドットコム」など。
  2. 無消費と競争する
    市場シェアばかりに気を取られるのではなく、今まで無消費、つまりジョブを満たす解決策を見つけられず何も採用しない道を選ぶ人に対して、新しいイノベーションを提供する。宿の貸し手と借り手を結ぶエアビーアンドビーなど。
  3. 間に合わせの対処策
    現在の解決策に満足しておらず、工夫して自分なりの解決策を作ろうとしている消費者に目を向ける。シンプルな貯蓄口座を提供した「INGダイレクト」など。
  4. できれば避けたいこと
    できれば避けたいジョブ「ネガティブジョブ」を解決する方法を提供する。手軽に診察を受けられる「CVSミニッツ・クリニック」など。
  5. 意外な使われ方
    顧客がプロダクトに対して、企業が想定していたのとは異なる使い方をしている場合に注目する。風邪薬ではなく睡眠導入剤として使われている「ナイキル」など。

最先端の理論が、生活に身近なジョブを探せ、といっているのは何か励まされる思いがしますね。顧客のニーズにイノベーションは潜んでいるというのは、今も昔も共通のようです。

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