ブランドに関わる人なら、聞いたことのある人も多いブランド・マネージャーという役割。
ブランド・マネージャーとは、一言でいうとブランドの責任者です。ブランドに関わるマーケティング戦略、ブランディング戦略についての全ての管理を行います。
市場調査、製品開発、販促活動など全ての施策に関わるため、ブランド・マネージャーの資質や能力がそのブランドの成功の鍵を握っています。
優秀なブランド・マネージャーになるためには、マーケティング知識だけでなく、その心構えも重要です。今回は、実際にブランド・マネージャーになりたいという方へのヒントをご紹介します。
1.リーダーシップをもつ
ブランド・マネージャーは、ブランドに関する全ての管理を行う責任者であり、ブランド戦略を先導していくリーダーです。
そのため、ブランドを左右する全ての要素に責任を持たなければなりません。
当事者意識がなく、重要な場面で他人任せにするようなブランド・マネージャーでは、社内の誰もが、ついて行かなくなってしまいます。
ブランドと同様に、一度見限られたブランド・マネージャーが信頼を回復することは大変です。
2.経営者の目線から考える
ブランド・マネージャーは、ブランド戦略の責任を持たなければなりません。しかし、ブランド単体だけを考えればいいわけではありません。
企業にとってブランドとは資産であり、経営戦略から一貫して派生するものです。
ブランド・マネージャーは、経営者的視点から、ブランドの価値を高め、経営戦略を実現する役割を担っているのです。
3.マーケティングの基本理論を理解する
マーケティングの基本理論を理解しておく必要があります。
詳しくは解説しませんが、具体例として、下記の4つの基本的なマーケティング用語を挙げました。この4つは、マーケティングだけでなくブランディングにおいても活用されています。
1. ベネフィット
2. 3C分析
3. セグメンテーションとターゲティング
4. 4P
3C分析についてこちらで解説しています。【誰にでもわかる!?】スターバックスから学ぶ3C分析
4.データを収集し分析できる
データを読み解く力も重要です。
課題や問題に対して、データがない意見は「単なる意見」になってしまいがちです。具体的な数字を示すことで、意見に説得力を持たすことができます。
そして、その事実の根拠を探ることで、より効果的な解決策を提案することができるようになります。
また、こうした現状分析に基づいた意見が求められるため、常に市場動向を知っておくことも重要です。
5.企画を創れること
ブランド・マネージャーの専門スキルとして、
- 新ブランドを創る
- 成功しているブランドを守る
- ブランドをリポジショニング(建て直し)する
の3つがあげられます。
それぞれにおいて市場調査、製品開発、販促活動などを行うわけですが、企画やプランニングが納得されなければ、ブランディングを進めることはできません。
6.プレゼンテーション能力
プレゼンテーションは他人を説得、納得させる技術です。
ブランド・マネージャーは、ブランドをつくる段階から、消費者に受け入れてもらうまで、他人を説得することの連続です。いわばマーケティングやブランディング自体が、一種のプレゼンテーションといえるでしょう。
良い企画をつくっても、プレゼンテーションの善し悪しで決まることもあるため、プレゼンテーション能力は身につけておきたいものです。
また、グローバルなブランドに携わりたい人は、もう一歩深く考えることも必要です。
デビアスやソニーといった大企業や外資系企業の広告に携わってきた小池玲子氏は著書でこう語ります。
「このように海外ではプレゼンは仕事の上で大切なものとして考えている。
確かにプレゼンのやり方次第でアイディアが売れたり売れなかったりする。特に注意しなければならないのは、文化の違う相手にプレゼンする時だ。」(出典:日経広告研究所「ある女性広告人の告白」小池玲子著)
7.財務知識をもつ
ブランド構築において、マーケティング施策の予算はどうするのか、クライアントや上司を納得させるためにも、損益計算書は自分で作れるようになっておいた方がいいでしょう。
まとめ
今回は、ブランド・マネージャーにとって大切なことをご紹介しました。ブランディングについて専門的な知識を学ぶことも重要ですが、「リーダーシップ」や「経営者の目線」などの実務での心構えも参考にしてみてください。
参考文献
■『ブランド・マネージャー―たった一人のBMで会社がよみがえる』(経済界)水野与志朗著
■『ある女性広告人の告白』(日経広告研究所)小池玲子著
■一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会スペシャルインタビュー
「営業職からブランド・マネージャーへ」 フロンディア株式会社 代表 伊藤恵理子氏
http://www.brand-mgr.org/interview/cat104/vol1-24.html