昨年の西日本豪雨や大阪を襲った台風、各地で頻発する地震など、自然災害がもたらす被害が深刻化するとともに、防災への意識は強まり、学校や官公庁にとどまらず、一般企業や家庭での備蓄需要も拡大している。
こうした動きに対し、非常食を扱うメーカーは食物アレルギーや高齢者の咀嚼、さらにはハラールなどに対応した開発に注力し、商品は多様化している。今月初め、大阪市で開かれた震災対策技術展でも多くの非常食が並んだ。
アルファフーズ(東京都)は魚の煮付やシチューなど、食物アレルギー特定原材料等27品目不使用の防災食をシリーズ化している。これらの商品を強化するきっかけとなったのが、16年の熊本地震だ。被災地へは次々と救援物資が届いたが、その中にアレルギーを持つ子供が口にできるものは少なかった。また、それらを選別するのに多くの時間を要した。
こうした被災地の実情を踏まえ商品を開発。「各市町村でも、アレルギーに対応した食品を備蓄しようという動きが強まっている」(吉岡慎司広報部長)。
(中略)
近鉄百貨店は通常のギフトなどで取引のある法人へ向け、災害用商品の提案を強化している。「営業担当者が防災士の資格を得ており、より深く顧客のニーズを聞いて対応できる」(法人外商本部)。多様な商品を扱う百貨店の強みを生かし、保存食だけでなく非食品を含めた備蓄用のセットなども提案する。
食品新聞 2019/6/21
備蓄需要強まり非常食多様化 アレルギー対応は当たり前 ハラールや介護食も
2018年は多くの災害に遭遇した1年だったが、昨今でも2019年6月に新潟で震度6強の地震が発生するなど、常に災害対策を怠らず、準備を行っておかなくてはならないことを改めて認識させられることになった。
災害時に用いられる非常用の備蓄食材だが、以前はカンパンなどの如何にも非常用である、簡易的なものが多かった。その後は缶詰やレトルト食材など、内容も充実してきていたが、現在では生活環境の多様化が進み、移民在住者向けの国際的な対応や病気・介護者に関することを考慮した商品が開発されてきている。
個人だけではなく、企業側もBCP対策を検討し、自衛的手段を確保しておく必要がある。事業の継続のためには、会社の最大の資産である従業員の安全を担保できるために、あらゆる角度から対策を検討しておかなくてはならない。
このような役割は一般的に企業の総務部門が担うことが多いかと思われるが、現在の総務部門は事務処理だけのような存在ではなく、株主総会やBCP対策などを通して、戦略的に会社を支えていく存在になりつつある。総務部門にも戦略的な視点が必要となってきているのである。
武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント