(前略)今回の審査結果では、「特A」を獲得した地方ブランド米の数は、過去最高の55(昨年比+12増)となりました。実は現在、国内ではブランド米競争が熾烈を極めています。
この背景には、政府が長年にわたり続けてきた減反政策(農家に補助金を出してコメの作付けを制限する)の廃止があります。これにより、各農家は所得を引き上げるための自助努力を促され、ブランド米が“乱立”するようになりました。現在では750以上のブランド米があると見られます。そして、その乱立が現在の「特A」獲得をめぐる競争激化になっています。(後略)
LIMO 2019.03.01
消費者には関係ない? ブランド米の乱立と食味ランキング
魚沼コシヒカリは2年ぶりに「特A」へ返り咲き
2月27日、日本穀物検定協会から「2018年産米の食味ランキング」が公表された。昨年のランキングでは魚沼産コシヒカリが「特A」からランクダウンしたことが話題になったが、今回は特Aに復帰することができた。農協など関係者のなかには感涙にむせぶ人もいたそうで、その感激の大きさはわれわれ一般人の想像を超えるようだ。
ブランド米誕生の背景には、特定の産地の米をブランド化することで究極的には米農家の所得向上につなげるという狙いがあっただろう。しかしニュースにもあるように、近年はブランド米が乱立し、結局個々のブランドが際立たず、当初の目的を十分には果たせていないようだ。
われわれが「ブランド米」という時、無意識のうちに「高級な米」をイメージしているが、本来は必ずしもブランド=高級というわけではない。牛丼の「すきや」、家具の「ニトリ」などは低価格でもブランドといえる。
とはいえ、「これから米は高級路線ではなく低価格で勝負すべきだ」と主張しているのではない。ブランド米は従来、外観、香り、味などで評価され、どのブランドも同じ軸でより高い評価を得るために努力してきた。しかしこれからは、新たな差別化要素が必要になってくるのだろう。
能藤 久幸(のとう ひさゆき)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 ディレクター・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ