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インバウンド勝ち組、高山市の“まじめ”な取り組み

投稿日:2019年8月28日 更新日:

「プライベートの訪日は3回目。ヒダが『日本のアネックス(奥座敷)』と言われているのは本当かい? SNS(交流サイト)にはドイツの世界遺産『ライン渓谷』にも負けない景観とあったので楽しみ」と、ドイツから来た医師、コーリン・ウエッツラーさん(64)と妻のウルムさん。約10日の旅程で中部空港から名古屋、高山、白川郷と北上して金沢に抜ける予定だ。帰りは北陸新幹線で東京、そして羽田空港へ。「有名ホテルよりも1泊1000ドル(約10万6000円)くらいの温泉宿を2泊ずつめぐる」という。

誘客の決め手は、国・地域ごとのきめ細かな対応だ。北アルプスなどに囲まれた岐阜県高山市は高山陣屋や川沿いの朝市が名高い。高山市は観光サイトを11カ国語に対応させるなど、地道なサービスを積み重ね訪日客の消費総額は中部4県で6位だった。

日本経済新聞 2019/8/8 チャートは語るインバウンド
「ホテルより温泉宿」富士山や高山へ リピーター周遊

東京からは新幹線と特急を乗り継いで4時間半、中部国際空港セントレアから電車で3時間半とおくびにもアクセスが良いとはいえない岐阜の山中に、人口の約6倍にあたる55万人もの外国人観光客が押し寄せている。未曽有のインバウンドブームとはいえ、これは異常な事態だろう。

「インバウンドの成功都市」として全国的に紹介されることの多い飛騨高山(高山市)だが、その取り組みの妙は観光客の国・地域ごとにSPツールのコンテンツ構成をカスタマイズしている点にある。つまり、山登りを好む韓国人にはアルプスなどの自然コンテンツを優先的に紹介し、日本の伝統的な街並み・文化を好む欧米人には「古い町並み」をフィーチャーする……といった塩梅だ。単純なようでこれを実践している観光地は少ない。

地域ブランディングではとかく「名所・名物づくり」といった“飛び道具”ばかりが注目を集めるが、こうした顧客のニーズを起点にした実直な取り組みこそが成功の必要条件であることを推して知るべきだろう。

 

BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ

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