ブランド経営戦略コミュニティ 運営会社について
twitter
セミナー・実践会・相談会でブランド課題を解決する

Branding Method

ラグジュアリーブランドの今日的課題~希少性をどう演出するのか~

投稿日:2018年7月31日 更新日:

luxury

ラグジュアリーブランド(超高級ブランド)はこれまで、希少性を訴えることで、所有者に特権的な地位であることを感じさせるという効果をもたらしてきました。しかし世界的な需要の高まりから、希少性と成長の両方を求めなければならない時代になっています。ラグジュアリーブランドの今日的課題について考えてみます。

成長が問題を引き起こす

ラグジュアリー産業は「成長が問題を引き起こす唯一の産業である」という特徴があります。ラグジュアリーブランドを持つことで、所有者は、希少で特権的な生活を送る証ともなっていました。そのためには誰でも買える製品ではいけません。

その点で、ラグジュアリー産業は、一般のマーケティング戦略とは全く異なる戦略を取ることになります。拡大する需要に対して供給を抑え、商品の入手可能性を制限する――などの戦略です。フェラーリは年間にわずか6922台、ロールス・ロイスは3630台しか販売していません(2013年)。希少性が、所有者の「夢」を叶えているのです。

対極的なマーケティング

他にもラグジュアリーブランドは他のブランドと対極のマーケティングを行います。例えば
・生産の国外移転をしない
・売るための広告をしない
・ターゲットではない人ともコミュニケーションをする
・バリューチェーンを完全に制御する
・販売を完全に制御する
・ライセンスを発行しない
・常に平均価格を上昇させる
・直接のワン・トゥ・ワンを実現させる。

「豊富な希少性モデル」への転換

ニッチの特権階級に対して希少品を提供してきたラグジュアリーブランド。しかしながら、そのような限定的な顧客に対してニッチに留まっていられないほど、世界的な需要は高まっています。ラグジュアリー市場は1994年に730億ユーロ(9兆4900億円)から2014年には2230億絵ユーロ(26兆7600億円)と、約3倍に膨れ上がっています。背景には新興国、特に中国の高所得者層の台頭があります。フェラーリやロールス・ロイス、ロマネ・コンティのように、依然として供給量を制限して希少性を維持しているブランドもありますが、多くの成長したラグジュアリーブランドは「豊富な希少性モデル」を採用しています。

例えば次のようなものです。
・入手困難性を人工的に創り出す。(レストランの予約待ちを1年以上にしたりする)
・原材料の希少性ではなく、高い品質水準を体現する
・限定された販売網で売る。
・工芸品から芸術品にまで高める。

永続性かつファッショナブル

LVMHのベルナール・アルノーCEOは大要、次のように話しています。
「スター・ブランドとは永続性、現代性、高い成長性、高い収益性の4つをそなえた数少ないブランドのことであり、その育成にはイノベーションとクリエイティブな才能の2つが必要であること、また、そのブランドでありつつも、常に新しくファッショナブルでなければならないこと、さらに、消費者の声を調査するマーケティング手法でなければ成功できない」

もはやラグジュアリーブランドは、永続性に依存してはならないということです。永続性がありつつも流行性(ファッショナブル)がなくてはならない。小さな工房での製造に留まっていてはならない。またマーケティングも欠かせないということです。

希少な製品であることを強調しながらも、株主も消費者も、ラグジュアリーブランドの成長を求めています。そのためには、他のブランドと同じように、イノベーションとクリエイティブの豊かな、生産性の高い先進的な企業への革新が求められています。

参考文献

ジャン=ノエル・カプフェレ『カプフェレ教授のラグジュアリー論』同友館
田中洋『ブランド戦略論』有斐閣

関連記事

日本を代表する印刷会社が「印刷」の二文字を外した意味

引用元 「印刷会社」から「世界中の課題を突破する会社」へ! 社名に込められた新たなブランド・アイデンティティとは? 2023年10月1日。大日本印刷株式会社(通称:DNP)と並び、日本の印刷会社の二大 …

ローソンのスイーツから学ぶブランド・ポジション戦略 ~ 5FORCES分析でコンビニスイーツを考察 ~

今、どこのコンビニに行ってもスイーツは買えますが、なかでもローソンのスイーツがとても人気が高く、かなり早い時期からコラボ商品なども多く販売しており、新作も次々とヒットとなることで勢いに衰えが見えません …

ブランディング

ブランディングとは? 「基本的な意味と進め方」について解説!

顧客に商品を認知し、ロイヤルティ(忠誠心)を高めてもらうには「ブランディング」は欠かせません。しかしブランディングといっても、一言では説明できないあいまいさがあるのではないでしょうか。今回はブランディ …

シンポジウム

【価値のリ・デザインとは!?】第5回公開シンポジウムレポート【後編】

前編に引き続き、昨年2015年10月24日に行われたブランド・マネージャー認定協会主催の「第5回公開シンポジウム」のレポートの模様をお伝えします。 リ・デザインが世の中を変えていく シンポジウムの最後 …

理念浸透施策の最前線――先進5社から学ぶ,“カルチャーを自分ごと化”させる仕組み

「いい言葉」を壁に貼るだけでは、組織は変わりません。経営理念やMVV(Mission / Vision / Value)が社員一人ひとりの判断基準になり、日常の行動に結びついて初めて“理念浸透”と言え …

サイト内検索