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【STP理論】で考えるレクサスのマーケティング戦略

投稿日:2018年6月20日 更新日:

lexus

(出典:https://lexus.jp/)

レクサスはトヨタ自動車が1989年にアメリカで販売開始した高級車ブランド。「品質のいい大衆車」のイメージが定着していた日本車のイメージを覆し、レクサスは高級車セグメントの一角を占めるまでに成長しました。当時ドイツ車やアメリカ車が独占していたアメリカ高級車市場で、いかにして独自の地位を獲得したのでしょうか。STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)の理論で考えてみましょう。

当時のアメリカ高級車市場でのSTPを考える

STP理論は市場を自分が有利なように分割(セグメンテーション)し、標的とする市場を決定(ターゲティング)し、競合に対してどんな差をつける(ポジショニング)のかを決めることです。この手順を踏んでレクサスの市場投入のプロセスを考えてみましょう。

1. セグメンテーション

消費者の所得(高所得者層、低所得者層)、市場(アメリカ、日本、ヨーロッパ)、年齢層(60歳以上、ベビーブーマー世代、若者)などを軸に市場を分割していきます。ここでは分割にとどめて、どんな人を想定するかは次のターゲティングに譲ります。

2. ターゲティング

当時アメリカの60歳以上の高所得者層にとって高級車とは「成功のシンボル」であり、重厚で威厳のある、言い換えれば風格のあるデザインが好まれており、リンカーンなどのアメリカ高級車、ベンツなどのドイツ高級車が選ばれていました。
しかしトヨタは、新たな高級車購入者層になりつつあるベビーブーマー世代は、そういった価値観に反発し、自己顕示欲も低く、機能性を重視した合理的な消費行動をとっていることに目を付けます。
そしてショートパンツで乗れるカジュアルな高級車、西海岸的なライフスタイルを送る人たちをターゲットとします。例に挙げると当時のビル・ゲイツ氏やスティーブン・スピルバーグ氏などです。

3. ポジショニング

伝統的‐先進的、高品質‐低品質、という2つの軸を交差させて、ポジショニングマップを作成しました。

ブランド力と豪奢なデザインゆえに燃費や走行性能をややないがしろにしていたリンカーンは「伝統的」かつ「低品質」、同じく伝統的だがドイツ車ならではの高品質のベンツは「伝統的」「高品質」のマトリクスにポジショニングされます。
歴史はまったくないレクサスですが、その反面、当時の新興高所得者層に訴求できる、先進的で高品質という、未分野のポジショニングを手に入れることができました。

レクサスのポジショニングマップ

レクサスのポジショニングマップ

レクサスのブランド戦略

当初のレクサスのブランドのタグラインは「Pursuit of Perfection」(完璧の追求)。このタグラインを証明するかのように、時速232キロに達してもボンネットの上に積み上げられたワイングラスのシャンパンが一滴もこぼれないというデモンストレーションをCMで流し、アメリカの消費者にその静粛性、低振動性のイメージを植え付けます。こうしてレクサスは「機能的なプレミアム」という独自性を打ち出すことができました。

STPに始まりSTPに終わる

レクサスのマーケティング戦略を、STP理論に当てはめて考えてみました。
「マーケティングはSTPに始まりSTPに終わる」ともいわれる重要な考え方です。もちろん大手企業の高級ブランドでなくても、どんな製品のマーケティングでも有効です。製品を市場投入するうえで、ぜひSTPを念頭に入れてマーケティングしていただきたいと思います。

参考文献

高田敦史・田中洋「自動車業界におけるラグジュアリーブランド戦略」(『マーケティングジャーナル』Vol.36 No.3)

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