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サントリーのボス 続くコーヒー以外へのブランド拡張

サントリー食品インターナショナル株式会社は、「BOSS」の濃縮タイプ飲料「ボス ラテベース」の新たなラインナップとして、「ボス ラテベース 香ばしピスタチオ」を1月22日(火)から期間限定発売します。

 

「ボス ラテベース」は、牛乳と割るだけで、お店のような贅沢な味わいのカフェラテが手軽に作れる濃縮タイプ飲料です。本格的な味わいや手軽さにご支持をいただき、販売数量は2016年の発売以来伸長し続けています。

(日本経済新聞 2019/1/15)

サントリーのボスと言えば、代表的な缶コーヒー飲料のブランドだ。それが近年、コーヒー以外にもラインナップを拡張し続けている。2017年には「ボス」ブランドから初めての紅茶飲料「とろけるミルクティー」を発売し、その後もスープを発売するなど、コーヒー以外への事業展開に挑んできた。今回のピスタチオのラテベース発売もその一連の流れだ。

これはいわゆる「ブランド拡張」というもので、従来ブランドが扱っていなかった商品やサービスまで、そのブランドの領域を広げることを言う。ブランド拡張の目的としては、業績好調なブランドの力を借りて、新たなカテゴリーの売上を創出しようとすることが挙げられる。新たなカテゴリーは、全くの新商品である場合もあるし、既存商品だが業績不振のもの、あるいはさらに伸長する余地があるものである場合もある。

ボスの業績は好調で、2018年の年間販売数量が1億ケースを突破している(※1)。拡張元のブランドとしての条件は満たしているのだろう。

そこで次に問題になるのは、追加するカテゴリー(この場合、ラテベースやスープ)が拡張元のブランド(ボス)に相応しいかどうか、ということだ。ボスだけに限ったことではないが、缶コーヒーのヘビーユーザーは建設作業員など、体を動かす仕事をしている人々だ。甘すぎると感じるくらい砂糖が多いことも、ヘビーユーザーの嗜好というかニーズを考えてのことと思われる。1992年の発売開始以来、ボスのコンセプトは「働く人の相棒コーヒー」だった(※2)。近年のブランド拡張は、「働く人の相棒」であるためにはコーヒーに限定する必要はなく、他の飲料でも可能だという判断に基づくものと推測される。

 

※1、※2
サントリー ニュースリリース(2019/1/11)
“働く人の相棒”サントリーコーヒー「BOSS」ブランド
2018年年間販売数量が大台の1億ケースを突破”
https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF0776.html

 

能藤 久幸(のとう ひさゆき)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 ディレクター・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ

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