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「丹後ちりめん」が挑む、固定化されたイメージからの脱却

京都北部に位置する宮津市と京丹後市、伊根町、与謝野町の2市2町からなる丹後地域は、2017年から地域ブランディングに取り組んでいる。高級絹織物「丹後ちりめん」をはじめ、織物の技術や文化、歴史など、地域の魅力を国内外に発信していくため、まずインナーブランディングに力を入れる。

それらの総称として掲げたブランド名が「TANGO OPEN(タンゴオープン)」だ。ブランディングは丹後地域の2市2町に加え、丹後織物工業組合や京都府などが一体となって取り組んでおり、統括する組織として「丹後ちりめん創業300年事業実行委員会(以下、300年事業実行委員会)」を立ち上げた。ターゲットイヤーは20年。丹後地域にちりめんの技術が伝わってから300年という節目の年であり、東京オリンピック・パラリンピックの開催で日本が注目されるタイミングに合わせた。

日経クロストレンド 2019/4/5
世界目指す「丹後ブランド」 まずインナーブランディングから

伝統あるブランドほど往々にしてイメージが固定化されてしまい、新しい客層にアピールしにくいという事態に陥りやすいようだ。ニュースが報じる「丹後ちりめん」はその典型で、伝統があるがために長らくその流通量を減らし続けてきた。生産量だけで見てみても、最盛期だった1972年と比べ、2018年の生産量は3%というから、その低迷ぶりは相当なものだ。

課題はいかにして「ちりめん=呉服のための生地」というこびりついたレッテルをはがすかにあるが、近年のインバウンドの隆盛ぶりや、「寿司」、「盆栽」といった日本の伝統文化が海外で好意的に受け入れられている状況を参照する限り、同じく歴史と伝統を持ち、かつモード&ファッションとの親和性の高い「丹後ちりめん」のポテンシャルは高い。2020年のターゲットイヤーを機に“ブレイク”できるか注目だ。

 

BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ

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