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新元号はいかにして体を表すか

政府は1日、「平成」に代わる新たな元号を「令和」と発表したが、最終的に絞り込んだ6つのうち「令和」以外に、「久化(きゅうか)」「英弘(えいこう)」などすべての候補が明らかになった。

政府は1日、各界の有識者や閣僚らに6つの新元号の候補を示したが、政府関係者によると、「令和」以外の5案は「久化(きゅうか)」「英弘(えいこう)」「広至(こうし)」「万和(ばんな)」「万保(ばんぽう)」だったことがわかった。このうち、「令和」以外にも「英弘(えいこう)」と「広至(こうし)」は日本の古典を出典としていて、それらは古事記と日本書紀から選ばれたという。

日テレNEWS24 2019/4/2
新元号、「久化」「英弘」など他に候補5案が判明

新元号が「令和」は、『万葉集』に収められた梅花の歌、“初春の令月にして気淑よく風和らぎ”に由来するという。これは古典的な日本的情景を描いており、そのイメージを喚起させるネーミングという点において、今日のブランディング的な思考に通底しているように思える。

そもそも日本のように独自の元号を持つ国は少ない。それでもなお私たちが元号という“ネーミング”を絶やさないのは、ただ単に伝統だからというだけでなく、「時代」という目に見えない巨大な概念に名前を付けることで、所有・共有しようとする意思の表れなのではないか。

古来“名は体を表す”といわれるように、「令和」というネーミングによって、新しい時代とそれを生きる私たちが、どのようにインナーブランディングされるのか――そんな視点で見てみるのもおもしろそうだ。

 

BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ

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