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「はかま」のイメージ 小学校卒業式での着用に賛否両論

(前略)近年、小学校卒業式でのはかまの着用が議論を呼んでいる。

2011年ごろから各地の小学校で、卒業式に和装で参加する児童が増えはじめ、自治体や教育委員会が自粛を呼びかける動きも出ている。その理由は、「服装が華美になりすぎる」「保護者の経済的負担が大きい」という声が目立つが、「着崩れが心配」「トイレに行く時に困るのでは」といった懸念もある。
(中略)
小学校卒業式の装いを巡り、はかまだけに批判が向けられた背景には、和装への誤解も多分に影響している。実際には「華美」や「経済的負担」という点については、洋装も含めて対応が検討されるべき課題であることがわかる。(後略)

(読売新聞オンライン 2019/03/15
小学校卒業式のはかまに賛否…なぜ問題視?)

小学校の卒業式で「はかま」姿や和装の女児が増えているそうだ。華美に過ぎ、格差を助長するなどと議論を呼んでいる。「着崩れが心配」「トイレに行く時に…」など、もっともな実用上の指摘はここではいったんおくことにし、華美に過ぎるというイメージ上の指摘に注目してみたい。

今日、和装が華美であるというのは実は誤解で、洋装と価格を比べればすぐに分かることは引用元でも指摘されている。「和装=華美」というイメージの起源はどうやら、70年代に和服の生産量が頭打ちに合った結果、業界各社が高級・高付加価値路線を取ったことにあるようだ。したがって「和装=華美」というイメージは、比較的中高年層に多く見られ、若い世代ではそれほど強くないという。

興味深いのは、「和装」という同一のものが、年齢層によって異なるイメージを持たれている点だ。

ここで、自分がある企業のイベント企画担当者になったと仮定してみよう。イベントのコンセプトが「ユーザーにゴージャスな体験をしてもらう」だとしたら、「和装」はそのイベントに使えるだろうか?答えは「ターゲットによる」といえる。中高年層がターゲットなら、和装はゴージャスさの象徴として使うことができそうだ。

上の例では話を大幅に単純化しているが、要するに次の教訓が導ける。ユーザー体験を設計する場合、そこに盛り込む要素がユーザーにとってどのような意味をもつのか、企業は慎重に見極める必要がある。

 

BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ

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