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ツーリストをも魅了する日清食品の「コト型」ブランディング

大阪府池田市満寿美町にあるカップヌードルミュージアム大阪池田が21日、開館から20周年を迎えた。池田市は日清食品創業者の安藤百福氏が世界初の即席麺・チキンラーメンを発明した「発祥の地」。ミュージアムは来場者数がまもなく1千万人の大台を迎える、関西随一の観光スポットとなった。

11月中旬の午後、チキンラーメンを実際に作れる「チキンラーメンファクトリー」では、外国人の姿が目立っていた。製麺機で麺を延ばしたり、麺に味を付けたり。スタッフが油で揚げた麺を見て、拍手も湧いた。中国から来たチャン・ジャーイーさん(29)は「インターネットで調べてここに来た。とても面白かった」。スペインから来たウーゴ・ディアスさん(41)は「今度食べる時にもう一回思い出しそう」と笑った。

朝日新聞 2019/11/22
チキンラーメンの聖地、20年で来場者1千万人へ

コミュニケーションがマスメディアの支配下に置かれていた時代、「ブランド価値」とは企業から消費者への一方的な“約束”だったが、インターネットの台頭とともにその関係性は変質。今やブランド価値は企業と消費者が共に築く、いわゆる「モノからコト」へのシフトチェンジがテーマだが、大阪池田の「チキンラーメンファクトリー」はまさしく典型的な“体験型ブランディング”を提供する場だ。

企業のブランディング施設は自社の歴史を伝える展示を中心としたミュージアム型は一般的だが、日清食品は消費者が実際にチキンラーメンの製造工程を楽しめる体験型アトラクションである点で他と一線を画す。

それは日清食品創業者にして即席ラーメンの発明者・安藤百福が実際に行ったチキンラーメン誕生のプロセスを文字通り追体験できるものであり、日本語を解さない外国人にも参加できる、どんな雄弁なブランドストーリーよりも強力な訴求力を持つ。

ブランド体験もまた、“百聞は一見に如かず”なのだ。

 

BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ

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