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和田誠作「ハイライト」、59年愛されるデザインが伝えるもの

本の装丁やポスター、映画などさまざまなジャンルで活躍したイラストレーターの和田誠(わだ・まこと)さんが10月7日午後6時57分、肺炎のため東京都内の病院で死去した。83歳だった。お別れの会を開くが日取りなどは未定。

多摩美術大在学中に制作したポスターで日本宣伝美術会賞を受け、卒業後は広告デザイン会社に。たばこ「ハイライト」のデザインで注目を集めた。週刊誌の表紙に描いた似顔絵などで69年に文春漫画賞を受賞した。

77年から「週刊文春」の表紙を40年以上手掛けたほか、星新一さんや丸谷才一さん、つかこうへいさんら数多くの作家、劇作家の本で装丁や挿絵を担当。手仕事によるシンプルで温かみのある絵は広く愛された。

日本経済新聞 2019/10/11
和田誠さんが死去 イラストレーター

週刊文春や星新一、村上春樹らの小説の表紙画などで知られる故人だが、グラフィック・デザイナーとしてのポートフォリオにおいては、何を差し置いても「ハイライト」(日本たばご産業)のパッケージデザインが白眉ではないか。

“ハイライトブルー”とも称される空色の背景を白い角丸の枠で縁取ったデザインは、極シンプルでありながら、誰が見てもそれが「ハイライト」と一目で分かる個性を湛えている。実際、和田氏がデザインしたパッケージは発売から59年を迎えた今もそのまま使われ続けていることからも、ブランドイメージが完全に確立した稀有なプロダクトと言えるかもしれない。

コピー&ペースト文化の登場により類似品が量産される時代において、今も変わらぬ輝きを放ち続けるハイライトはブランドデザインにおける北極星のような存在だ。

 

BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ

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