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ブランドによる信用補完機能は再生の切り札となるか ノジマとスルガ銀行の提携の進展

家電量販大手のノジマは不正融資が問題となったスルガ銀行の創業家が持つすべての株式を取得し、筆頭株主になると発表しました。

ノジマは5月、スルガ銀行との業務提携で合意しましたが今回、創業家が保有するすべての株式を約140億円で取得すると発表しました。議決権ベースで18%を持つ筆頭株主となります。スルガ銀行はシェアハウス向けの不正融資問題の温床となっていた創業家との関係を断ち、経営再建を進めたい考えです。一方、ノジマはスルガの金融サービスを取り込み、家電量販事業やインターネット事業を組み合わせて新たなサービスを生み出すとしています。

2019年10月26日 テレ朝 NEWS
ノジマ スルガ銀行の筆頭株主に 創業家の株取得へ

先日、SBIと島根銀行の提携が話題となったが、今回はノジマとスルガ銀行による異業種間の提携関係が、更に進展したことが話題となっている。

家電量販店は、既に市場が飽和状態となりつつあり、多角化を図る動きが多くなっている。ヤマダ電機は住宅産業のM&Aに積極的であり、エディオンはリフォーム事業への投資が増えている状況である。

そのようななか、ノジマは多角化事業について、今回は金融業界を選択した。前述の2社と比較しても、異色の試みである。ノジマのM&Aは、過去にもインターネットプロバイダーであるニフティを買収し、プロ野球球団の買収を検討するなど、同業他社と比べても独特の選択肢を模索しているように見える。

スルガ銀行は、サブリース・ノンリコースローン問題による経営危機が生じたことで、対外的なブランド評価は、かなり毀損してしまった状況下にある。

ノジマのブランドによってスルガ銀行の信用補完につながり、双方の企業にシナジー効果が発揮されるのか、注目されるところである。

 

武川 憲(たけかわ けん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 シニアコンサルタント・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ シニアコンサルタント
MBA:修士(経営管理)、経営士、特許庁・INPIT認定ブランド専門家(全国)
嘉悦大学 外部講師

経営戦略の組み立てを軸とした経営企画や新規事業開発、ビジネス・モデル開発に長年従事。国内外20強のブランド・マネジメントやライセンス事業に携わってきた。現在、嘉悦大学大学院(ビジネス創造研究科)博士後期課程在学中で、実務家と学生2足のわらじで活躍。
https://www.is-assoc.co.jp/branding_column/

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