X

「ルビーチョコ」~新カテゴリーの創造

■ ルビーチョコとは…約80年ぶりの新カテゴリ『第4のチョコレート』

ルビーチョコレートは、従来のダーク、ミルク、ホワイトチョコに次ぐ第4のカテゴリのチョコレートとして、チョコレート世界シェアNo.1 であるスイスのバリーカレボー社が昨年10月からアルチザン(プロ・職人)向けの「カレボー ルビーチョコレート RB1(業務用)」の販売を開始したもの。ルビー色の成分をもつ特殊なカカオ豆を選定し、独自の技術で天然のルビー色を生み出すことに、10年の歳月を経て開発に成功したという。ルビーチョコレートは、目に飛び込む鮮やかなピンク色が特徴。着色料不使用で、カカオの天然色による華やかな色味によりチョコレートのビジュアルを変える一品だ。カカオ本来の豊かな香りと、ほんのりとしたフルーティーな天然の酸味を持っている。

(中略)

大手ブランドもこぞってルビーチョコレートの商品化に乗り出している。アンテノール、ヴィタメール、ユーハイム、ローゼンハイム、バニラビーンズ、シャトレーゼ、ベルアメール、デルレイ、クラブハリエ、CACAO SAMPAKAなど、複数展開の有名店や百貨店、オンラインショップなど、各社が一斉に1月からバレンタインに向けてルビーチョコレートの商品を販売開始している。

(YAHOO! JAPAN ニュース 2019/2/4)

今日どんな分野であれ、既存の商品・サービスの市場は成熟し、その中での競争は熾烈だ。そんな中で、新しいカテゴリーそのものを創造してしまうという方法は、有効な選択肢の一つだ。カテゴリー内部で新商品を投入しても、結局カテゴリー内部でのシェア争いになる可能性がある。しかしカテゴリーそのものを創造すれば、既存カテゴリーの売上に加えて、新カテゴリーの売上を追加できる可能性がある。新カテゴリーも通常の製品ライフサイクル(導入期、成長期、成熟期、衰退期)をたどるとすれば、一定期間売上が単調に増加する見込みが大きい。

しかし、新カテゴリーの可能性に多くの企業が注目して参入してきたら、どうなるだろうか。導入期から一定期間は、参入した各社がともに市場拡大の恩恵を受けるだろう。やがて市場は成熟し、既存市場と同様熾烈なシェア争いに帰着することは目に見えている。

そこで将来的な対策の一つとして、各社なりのブランディングが必要になって来るのではないだろうか。着色料を使わないカカオ天然のピンク色、これはルビーチョコがもつ他のチョコレートにはない、新しい価値だ。しかし、この価値はすべての企業が利用できるものだ。実際、バレンタインにピンク色のチョコを使おうというアイデアは、誰でも容易に思い付く。

今後各社は、自社のルビーチョコ独自の立ち位置や付加価値を模索して行くことになるだろう。

 

能藤 久幸(のとう ひさゆき)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 ディレクター・認定トレーナー
株式会社イズアソシエイツ

Categories: 話題の事例
sc: