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ブランドリニューアルの難しさを考察 アサヒスーパードライのブランドリニューアル【後編】

前編では、アサヒスーパードライのフルリニューアルについて、コトラーの4つのブランド戦略を用いて解説しました。

今回は、その不安点について検討してみます。

一般的に主要ブランドのリニューアルは、長年の固定客がいるほど難しくなります。
ブランドは、ブランド活性化のために時代に合わせたリニューアルも必要となりますが、リニューアルの内容によっては既存の固定客から反発を受けてしまうこともありますし、ブランド力が弱まったことで顧客が離反する可能性もあるためです。

自動車業界を事例として挙げますと、かつてのバブル時代にトヨタで人気だった自動車として、マークⅡという名車があります。

トヨタ マークⅡ

(wikipedia)

マークⅡは1980年代にはカローラに次ぐ販売台数のヒット車でしたが、現在は後継車であるマークXも販売終了となっています。

これは、既存顧客の要望に応えることと同時に、時代に合わせたブランドコンセプトを両立させることが難しかったことが要因として考えられます。

マークⅡは大衆車であるカローラよりも遥かに高級車でしたが、クラウンよりはグレードが下という位置づけの車でした。バブル崩壊後は自動車にもコストダウンの波が押し寄せますが、マークⅡもその流れを受けてコストパフォーマンスを重視した車作りになっていき、段々とブランドコンセプトが揺らぎ始めます。

その後、マークⅡは徐々に新規顧客の獲得ができず、固定客が細々と乗り続ける車になっていきました。その結果、年配層が乗る車というブランドイメージが固定化してしまい、固定客ですら減少していくという過程をたどっていきます。

再度、スポーティーセダンというブランドコンセプトを掲げてマークXとしてフルリニューアルに挑みましたが、最終的には顧客からの支持を獲得しきれず、2019年に生産終了となりました。

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