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犬山市がフリースピーチ制度を導入 米国流のアプローチで地域創生

なり手不足や投票率の低下など数々の課題に直面する地方議会。そうした現状に風穴を開ける取り組みが愛知県犬山市議会で進んでいる。ガラガラだった傍聴席が埋まり、16年間放置されていた市環境基本計画の改定にもつながった。キーワードは「市民参加」だ。

「犬山に住んでいて良かった。このまま続いていけばもっといい街になる」――。3月20日夜。集まった市議らを前に白いつえを持った宮田尚人さん(54)が熱っぽく語った。

宮田さんが継続を求めたのは市議会が導入した「市民フリースピーチ制度」だ。公募で集まった市民が議場で施策の提案や日ごろの市政への思いを話し、議員から質問を受ける。提案を受けた議会は受けっぱなしではなく、その後の対応を議論する。「市民の声を生かして議会側からの政策立案能力を高めよう」と議員の間で声が上がり、昨年2月に開始。これまで計3回、20人の市民が意見を述べた。

毎日新聞 2019年 4月19日
フリースピーチ、議場に導入 市民参加、変わる愛知・犬山市 指摘で塩漬けの計画改定

ここ数年「地方創生」というキーワードを耳にすることが多い。今回は地方創生の興味深い例として、2018年に愛知県犬山市が導入した「市民フリースピーチ制度」にフォーカスしてみたい。

市民から7人の代表を選び、市議会で5分の発言権を与えるというフリースピーチ制度だが、地方議会として導入したのは犬山市が日本初の事例である。実はこの制度は、同市議会議長でニューヨーク出身のビアンキ・アンソニー氏が、自身の故郷の制度をモデルに考案したものた。すでに数回にわたって行われているが、住民ならではの目線によって次々と問題点が見つけられ、議会が活性化したという。

フリースピーチ制度は住みやすい街づくりを進める一方で、もうひとつ大きな効果を生んだ。それは街としてのイメージアップである。「日本初の制度」というだけでも大きなインパクトだが、この制度をはじめとする取り組みによって、犬山市は「第13回マニフェスト大賞」(マニフェスト大賞実行委員会主催、毎日新聞社・早稲田大学マニフェスト研究所共催、株式会社共同通信社後援)(※)においてグランプリを受賞した。これは応募総数2,242件のなかで、最も優れた取り組みとして評価されたことを意味する。

市民参加というコンセプトのもと、一貫した政策を行えば、犬山市の取り組みは新たな形の地域ブランディングになるだろう。

※:第13回マニフェスト大賞 グランプリ
http://www.local-manifesto.jp/manifestoaward/award/index.html

 

BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ

 

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