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銀座ルノアールの“脱おじさん化”は吉と出るか

 

サラリーマンがタバコを吸いながら、長時間休憩や商談で利用する喫茶店――。都心の駅前などに店舗を構える「喫茶室ルノアール」に対して、このようなイメージを持つ人は多いだろう。だが、その印象から脱皮しようと、運営会社の銀座ルノアールが新たな施策を打ち出している。

2019年4月時点で、銀座ルノアールが手がける喫茶店は全業態で121店。喫茶室ルノアールはそのうち94店舗を占める収益柱で、さらにその8割が東京23区内に出店している。喫茶室ルノアールはコーヒーの販売単価が平均580円と、低価格カフェチェーンが台頭する中では、比較的高めの値段設定だ。コーヒー1杯だけを注文し長く滞在する顧客が少なくないが、「ゆったりと過ごしたい」との需要が底堅いこともあり、店舗数を徐々に拡大している。

東洋経済オンライン 2019/4/17
銀座ルノアールが挑む「脱おじさん化」への道

1995年のスターバックスの本邦初出店以降、我が国のコーヒーチェーンを取り巻く状況は大きく様変わりした。スターバックスなどのシアトル勢に対し、価格で対抗するドトール、ベローチェら国内チェーン、さらにサードウェーブと呼ばれる新機軸…。そんなカフェ戦国時代ともいうべき状況においてもなお、古き良き昭和の喫茶店文化を継承していたのが「銀座ルノアール」だったように思う。クッションの効いたフロア、ふっくらと包み込むソファ…そこは子どもの入店を言外に拒む、大人のための特別な空間だった。

“脱おじさん化”とは聞こえがいいが、ブランド・ポジショニング的な視点で見れば、それはスターバックスなど強豪がひしめくレッドオーシャンに自ら接近することでもある。あえて火中の栗を拾わずとも、ルノアールはいつまでもおじさんの聖域であってほしいと思うのだが…。

 

BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ

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