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プリンスホテル 次世代型宿泊特化ホテルはスマホゲームの世界に

西武グループのプリンスホテル(東京都豊島区)は6日、同区東池袋のサンシャインシティプリンスホテルの25階フロア全体を、人気のスマートフォンゲーム「FATE/GRAND ORDER(フェイトグランドオーダー)」(FGO)の世界観に合わせて改装した。フロア全体を1つのテーマで改装するのはホテル業界でも珍しいという。池袋はサブカルチャーの街として知られており、プリンスホテルは25階フロアをサブカルフロアとして、新たな宿泊客を呼び込む考えだ。

25階にある20の客室は、FGOの世界観に合わせてゲーム中に登場する「坂本探偵事務所」など4つのテーマ別に改装。FGOのキャラクターのパネルやキャラクターにちなんだ小物などが客室内に配置した。客室とは別に、宿泊したファンが交流できるFGOのイラストや音楽を楽しめるラウンジもテーマ別に4室開設した。宿泊料金(平日)は、2人1室利用時で1人1万7000円から。4月分は既に予約で完売しているという。

プリンスホテルは、サンシャインシティプリンスホテル25階を「IKEPRI(イケプリ)25」と名付け、ゲームやアニメなどさまざまなサブカルのコンセプトフロアとし、6日から7月6日までの第1弾としてFGOが選ばれた。これまでプリンスホテルは、ホテルの1室だけをアニメのコンセプトルームとして展開してきたが、予約を取ることのできない人が多かったことからフロア全体をサブカルフロアとすることを決めた。

産経新聞 2019/4/6
フロア全体をスマホゲーム「FGO」の世界に プリンスホテル

プリンスホテルといえば日本では誰もが知る有名なホテルだ。長い歴史を持ち、五千人収容の「飛天」など、多くの主宴会場(ホール)を有しており、各界の大物や著名人も利用している。最近では、次世代型宿泊特化ホテルブランド「プリンス スマート イン」のブランドステートメントを新たに定めた。

そんなプリンスホテルが、若者の世界観に合わせてフロア全体を1つのテーマで改装した。次世代型宿泊特化ホテルのブランドを連想させる新しい試みが、好奇心をそそられる。ホテル業界といえば、非日常的な体験をさせる「ブランド体験」のプロモーション施策が活用されることが多い。「体験」は消費者にとって印象に残りやすく、その体験自体がSNSを通じてシェアされ、ネット上で認知が広がる可能性が高い。

今回の戦略は、東京3大オタクの聖地といわれる池袋に立地する既存リソースの収益力を強化するため、その土地とトレンドに適合したターゲットを狙い撃ちしたのではないだろうか。スマホ中心の生活が主流になっている現代の若者に、人気のスマートフォンゲームの世界観を訴求すれば話題となりSNSによる拡散が狙える。こうしたトレンドの予測が、新たな顧客接点のアイディアにつながったのだろう。

 

はやま 紺(はやま こん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 1級資格取得者 
紺デザイン室 ブランド・クリエイター
女性目線の商材ブランディング
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http://kon-design.com/

 

 

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