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キラキラネームの改名 名前の意義

(赤池肇氏のtwitterより)

「王子様(おうじさま)」と名付けられた山梨県の高校3年の男性(18)が、自らの名前は「恥ずかしい」として甲府家庭裁判所に改名を申し立てたところ、認められた。

新しい名前は「肇(はじめ)」。男性は「新しい人生を始める」と喜んでいる。

男性は赤池肇さん。元々の名前である「王子様」は、母親が誰にも相談せずに役所に届け出たという。

母親は「自分にとっての唯一無二の存在。私にとっての王子様」という思いを込めて名付けたというが、赤池さんはこの名前によって恥ずかしい思いをしてきた。

(HUFFPOST NEWS 2019/03/09
「王子様」というキラキラネームに苦しんだ高3、
改名に成功。新しい名前は「肇」)

名前は、人の場合でも、商品やサービス、企業の場合でも、その対象を象徴するもっとも基本的な要素の一つだ。なぜなら、名前は発音することができるからである。

こういうと「そんなことは当たり前だ」とお叱りを受けそうだが、今少しお付き合い願いたい。発音できるということはすなわち、今までその名前を知らなかった場合でも、すぐに発音したり文字に書いたりすることで、他者に伝達できるということだ。かつ記憶もしやすい。

ロゴマークと比べてみればこのメリットが良く理解できる(ロゴマークをあえて人間にあてはめれば、今日ではあまりはやらないが家紋ということになるだろうか)。ロゴマークを他者に伝達するには、図形を書かなければいけない。かなり単純な図形であっても言葉で説明するだけでは正確には伝わらない。複雑な図形ならなおさらである。たとえば試しに、スタバのマークを言葉で説明することを考えてみられたい。円の中、中央やや上寄りに女性の顔があって、女性の髪はウェーブしていて、王冠をかぶっているなどなど、言葉を尽くしてもまあ伝わらないだろう。そして、図形を書くということは、発音したり文字を書いたりするよりも、大半の人間にとってハードルが高い。

また、名前は名前が指し示すものの印象を左右する。たとえばサントリーの缶コーヒー「ボス」、キッコーマンの和風おそうざいの素「うちのごはん」。消費者に一定のイメージを与えることを意図して命名されている。人名も多くの場合、親が思いを込めて名付ける(昔は親が僧侶など近隣の有識者に命名を依頼することがしばしば行われたようだが)。商品と異なるのは、名付けられた側にも意思があるという点だ。赤池肇さんには、新たな名前とともに新たな人生を切り拓いていってもらいたい。

 

BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ

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